飲食店を長期的に繁盛させるためには、お客様が喜ぶ様々な施策を考えて実行する必要があります。
また、お店の問題点をどんどん改善し、より良いお店に進化させなければなりません。
とは言え、自分で考えるだけではなかなか思いつかないですよね。
そこでここでは、お店を長期的に繁栄させるために必要な施策や、お店の問題点を改善する方法を紹介していきたいと思います。
繁盛店のノウハウを活かす他店見学で注意すべきポイント
他店見学では、最初に目的を明確にしておくことが何よりも大切です。
漠然と他店を利用しても意味がありません。
もちろん、無意識に利用したお店で大きな発見があることもあります。
しかし、それはただの偶然でしかありません。
他店見学の4つの目的
①オープン前のコンセプトづくりに役立てる。
②競合店の実力を探り、対抗策を立てる。
③自店の問題点解決の糸口を探す。
④業界全体のトレンドなどを知り、自店の軌道修正に活かす。
コンセプトづくりを除けば、他店見学の目的は他店の知恵や長所を学ぶことで、自店の欠点や弱点を解決し、より高いレベルのお店にすることです。
他店の欠点が反面教師として活かされることもありますが、最初からそれを目的にすべきではありません。
繁盛事例を学ぶことが他店見学の目的です。
繁盛の要因は、商品の個性、価格設定、サービスの仕方、雰囲気づくりなど様々です。
そして繁盛店も、それらの要素をすべて備えていることはほとんどありません。
しかし、人気があるということは、確実にお客様のハートをつかんでいるということです。
見学では、その秘密を探すことが大切です。
また他店見学では、できるだけ多くの繁盛事例を見ることが重要です。
サンプル数が少なくては、客観的なデータにならないのです。
繁盛の要因はさまざまです。一店や二店見ただけでは、コツをつかむことができません。
さらに、本当に参考にしていいのか客観的な判断ができません。
多くのお客様に支持されているということは、お客様が求めているものを確実に提供しているということです。
そのため、自分の好みで他店を判断してはいけません。
たとえば、おいしい、まずいというのは、基本的に個人の主観です。
その主観で判断していては、見学の意味がありません。
たくさんのお客様に支持される商品、という客観的な尺度を持つ必要があります。
これは、味についてだけではありません。
すべての要素に対して、比較検討するためのモノサシが必要なのです。
比較検討する意味でも、他店見学は数をこなす必要があります。
次に、見学時のチェックポイントをテーマ別に挙げていきましょう。
・アプローチ
立地特性(商圏内の競合店はどうか)、外装・看板・サンプルケースのデザインや演出、看板や外観の遠視性、店舗外部と周辺の清掃度、駐車場(収容台数と清掃)など。
・入店時の印象
スタッフの挨拶・態度、席への案内の仕方、スタッフの服装・身だしなみ、他のスタッフの態度(動作や待機の仕方など)、スタッフのモラルなど。
・接客サービス
席での最初の挨拶、メニュー表の提示の仕方、オーダーを取る態度・言葉づかい、おすすめ料理などの案内の仕方、商品知識(料理の説明の仕方)、厨房へのオーダーの通し方、テーブルセッティング、料理の運び方、テーブルへの並べ方、オーダーから料理提供までの時間、複数のオーダーへの対応(出す順番や時間差)、客席への注意力・中間サービス(食器下げ・追加オーダーへの反応・水や灰皿の交換など)、レジでの対応、お見送りの仕方など。
・商品政策(メニュー表)
デザイン、見やすさ、お客様の視線の誘導性、清潔感、商品構成と分類・品目数、プライスゾーン(価格帯)の幅、プライスライン(戦略価格)はどこに設定されているか、おとり仕様品、捨てゴマ仕様品の仕掛け方、予想客単価など。
・商品
第一印象のインパクト、ボリューム感、盛りつけの工夫・独自性、付け合わせの量と料理とのバランス、味、材料、調理方法の特徴、価格に対するお値打ち感、食器その他の演出性、提供時間、提供温度など。
・クレンリネス
イス・テーブル、カウンター、カスターセット、通路、壁面、窓ガラス、天井、照明器具、インテリア(家具類、絵の額、花瓶、植木など)、トイレ(化粧室)、厨房出入り口近辺、レジ周辺、器具・備品の破損など。
・雰囲気
空調の具合、BGM、照明の明るさ、雑音・騒音、異臭、演出の工夫など。
・その他
ターゲット(主要客層)と実際の客層、店長のリーダーシップ、店長代行者の有無、スタッフの訓練度とチームワーク、スタッフのモラル、販促策など。
たくさんの項目がありますが、すべての項目を漏らさずきちんとチェックすればいいものでもありません。
見学の目的は、チェックリストを完璧にこなすことではないのです。
見学の目的は、他店の繁盛の秘密を探りそこに学ぶことです。
チェックリストは、そのための手段にすぎません。
効果的な見学にするためには、お店で学ぶことを明確にしてから見学する必要があります。
ただし、多くても三つか四つのテーマに絞り込み、そこを重点的にチェックするようにします。
その上で、気づいた点があれば参考にします。
お店を見る目が肥えてくれば、店舗の投資コストも大体見当がつくようになります。
店内のスタッフ数とその動きを見れば、どの程度の人件費で運営されているのかも想像がつきます。
評価の仕方は、たんに「よい」「悪い」「ふつう」といった抽象的なものではいけません。
どこがどうよいのか、具体的な言葉で考えなくてはいけません。
必要なのはお客様としての感想ではありません。経営者としての判断なのです。
流行を取り入れ末永く繁盛するお店にする方法
飲食業には、何かの流行がつきものです。
イタリア料理やラーメンなどの料理自体の流行もあるし、居酒屋やカフェなどの業態の流行もあります。
そして、流行にうまく乗ったお店は繁盛しています。行列のできるお店になったり、マスコミで騒がれたり、有名になる経営者も少なくありません。
そのため、どうしても流行を追いかけたくなってしまいます。
しかし、安易に流行を追いかけるのは非常に危険です。
まず考えなければいけないのは、どんな流行にも必ず寿命があることです。
流行になった原因は様々ですが、盛り上がった波はいずれ引いていきます。
どんなにもてはやされた流行も、必ず飽きられてしまうのです。
流行に陰りが見えてきたとたん、ぱったりお客様が来店しなくなるのはよくある話です。
これは、ほとんどのお客様は流行を追っているだけだからです。
そのお店のファンになったわけではありません。
流行のお店だから利用しただけで、飽きてしまえば利用価値はないのです。
ところが流行に乗ると、多くのお客様に認められたと錯覚してしまいます。
これが流行の落とし穴です。
また、流行に乗れば簡単に儲かるという発想も非常に危険です。
たとえば、ラーメンが流行るとラーメン店が一気に増えます。
しかし末長く繁盛できるのは、ほんのひと握りのお店だけです。
流行に乗るということは、それだけ多くの競合店を相手にするということです。
流行のピーク時には、繁盛しているお店が目立ちます。
しかし繁盛しているのは、うまく流行に乗れたお店だけなのです。
ただ、その数が多いため、流行のお店はすべて繁盛しているように見えてしまいます。
流行のお店同士で、熾烈な競争が繰り広げられていることが見えにくいだけなのです。
とは言え、流行に乗ってはいけないわけではありません。
流行には、お客様を引き寄せる強烈なパワーがあります。
そして、飲食店の成功への第一歩は、お客様に知られることです。
流行に乗って、繁盛を長続きさせていくには、流行を巧みに利用する戦略戦術がなければいけません。
流行に飛びつくのではなく、その要因を冷静に観察します。
その上で利用できる要素があれば、自店のよさとして取り入れます。このような戦略戦術が不可欠です。
追加オーダーが取れる効果的なオススメ方法
追加オーダーには、お客様が自発的にオーダーしてくれる場合と、お店がオーダーを促す場合があります。
また追加オーダーは、最低でも二回オーダーされるチャンスがあります。
一回目は最初のオーダーの時、二回目以降は、最初のオーダーの料理を食べ終えた後です。
では、お客様が追加オーダーする理由を考えてみましょう。
たとえば居酒屋のように、一人のお客様が何品かオーダーするお店の場合、追加オーダーは比較的取りやすくなります。
一度にオーダーすると冷めてしまうなどといった理由から、いくつか追加オーダーにするケースがほとんどだからです。
そのため、自然と衝動買いの可能性も高くなります。
しかし、一般の飲食店の場合、お客様は基本的に最初のオーダーしかオーダーするつもりがありません。
それでも食べているうちに、もう一品軽いものがほしくなったり、食後にデザートを食べたいと思ったりするので、追加オーダーということになるのです。
そのため、一般の飲食店の場合は、お店側が何らかの提案をしない限り、追加オーダーが入る可能性は低くなります。
もちろん、居酒屋などの場合でも、こちらから何もアクションを起こさなければ、追加オーダーをやめてしまうことはあり得ます。
つまり、追加オーダーは待っていてはダメで、お店側が積極的に仕掛けなければならないのです。
ただし、積極的に仕掛けるといっても、オススメすればオーダーしてくれるわけではありません。
お客様にとっては予算外の消費行動なので、上手に「その気」にさせることが、オーダーしてもらうためには必要です。
追加オーダーを促す方法としては、サービススタッフによるオススメと、メニュー表での誘導やテーブル上に置くPOP広告などがあります。
まず、スタッフによるオススメについてみていきましょう。
上手くオススメする最大のポイントは、「お店から押しつけられた」という印象を与えないことです。
お客様の意志を尊重することは、サービス業の大原則です。
それを無視した売り方は、必ずお客様の反発を招いてしまいます。
おすすめして「いらない」といわれたら、さっと引き下がることが肝心です。
お客様は、予算を多少オーバーしても、自分で納得した上でのオーダーなら、「高くついた」とは思いません。
お店側がオススメしたとしても、「オーダーする」と判断したのは自分という意識があるからです。
そして、納得したうえでのオーダーなら「追加オーダーにより豊かな食事になった」という満足感も感じてもらえます。
このような意識に持っていければ、追加オーダーを取れて、しかも、より大きな満足を提供できるのです。
では、実際のオーダーの取り方のポイントを説明していきましょう。
まず、最初のオーダーの時は、お客様のオーダーを聞いた上で、「こちらのサラダはいかがでしょうか」などとオススメしてみます。
最初の料理を食べ終えた後の場合なら、食器を下げながら「ほかに何が注文はございませんか」などと、さりげなくオススメします。
あまり時間をおくと、食事への関心が低くなってしまうので注意が必要です。
どちらの場合も、押しつけがましさを感じさせないようにすることが最も重要です。
そして、乗ってこなかったら深追いしてはいけません。
メニュー表での誘導やPOP広告に効果があるのも、押しつけがましさを感じさせないからです。
また、追加オーダーでもう一つ注意が必要なことは、お客様のオーダーのサインを見落とす場合があることです。
追加オーダーはあくまで、二次的なオーダーです。
そのため、オーダーしようとしてもスタッフが気づいてくれなければ、「まあいいか」と止めてしまうこともあります。
こういう対応が原因で、失っている追加オーダーは意外と多いものです。
こんな基礎的なミスを犯さないために、スタッフの中間サービスのあり方には十分注意しなければいけません。
営業日報が必要な理由とは?
日報に記入されるべき内容は、その日のお店の動きを具体的に知るためのデータです。
経営者は、これらのデータを基に、効果的な営業政策を決定していきます。
日報のデータがなければ、実効性のある対策を考えることができません。
営業日報 三つのポイント
第一のポイントは、売上げ計画の達成状況と合わせることで、正確な現状分析が可能になります。
第二のポイントは、仕入れや粗利益を毎日チェックすることで、現金の流れを素早くつかみ資金繰りがやりやすくなります。
第三のポイントは、売上点検欄によって一時間ごとの売上高、組数、客数を確認できるため、スタッフの配置や仕込みの見直しに役立てることができます。
そのため経営者は、毎日、営業終了後に自分で日報をつけなければいけません。
お店の問題点は、毎日のデータの積み重ねからしか解決できません。
パソコンを活用すれば、簡単にデータ管理できるので実践が必要です。
店長のいるお店の場合は、店長が日報をつけることになります。
日報には、店長でしか把握できない数字を記入しなければいけません。
しかし、だから店長がつけるのが当然ということではありません。
店長が営業日報をつける理由は、第一に店長がお店の計数を管理するためです。
それと同時に、その数字を経営者の意思決定や経営方針の変更などの経営行動に活かすためです。
店長には、経営者の代行者として計数管理の責任があります。
ただし、それは経営者から示された一つの方針の範囲内での責任となります。
しかし、経営の方針は、常に経営環境の変化に対応して変更される可能性があります。
その意思決定のための材料を経営者にタイムリーに提供することは、代行者としての店長の務めです。
お店の問題点をあぶり出し解決する方法
飲食店の運営は、細々とした業務の集積です。
たとえば、商品管理だけでも、材料管理から調理作業の管理、ロス管理など多岐に渡ります。
商品自体でも、材料は標準量を使用しているか、ご飯の炊き方は正しいか、盛りつけに問題はないか、標準原価でつくられているかなど、さまざまな点をチェックする必要があります。
すべての業務がきちんと実行されていれば、お店に問題は起こりません。
しかし、人間のやることが完璧ということはあり得ません。
目に見えなくても、どこかで問題点が発生していると考えるべきでしょう。
そして、問題点はできるだけ早く発見し、対策を講じなければなりません。
いまは小さな問題でも、時間とともに大きな問題に発展してしまうのです。
飲食店が不振に陥る原因の多くは、内部に抱えている問題点から発生します。
しかし、毎日の業務の中でその問題点を的確に発見するのは難しいといえるでしょう。
なぜなら、日常業務はお客様への対応が最優先されなければならないからです。
そのため、売上が下がっていたとしても、その原因をつかむのは簡単ではありません。
そして、いったん不振に陥ってしまうと、効果的な打開策を打つことも難しくなります。
マニュアルは、お店のスタンダードを維持するためのものです。
また、お店を円滑に運営し、お客様に好感を持ってもらうために、様々なルールがあります
しかし、どんなによくできたマニュアルがあったとしても、実際にマニュアルの指示が守られていなければ意味がありません。
ルールにしても同様です。
飲食店の不振は、このようなちょっとしたことが原因になっています。
そのため、マニュアルやルールの遂行度を、随時点検できる仕組みが必要になります。
そのために活用できるのが「店舗チェック表」です。
これは、お店の現状を客観的に採点するための採点表です。
チェックすべき内容は、店舗の店頭および外観、従業員就業状況、商品管理、店舗管理の四つのグループに分け、それぞれのグループごとに、各項目の評価を採点していきます。
この総点数を100点満点に換算し、現状が100点に対してどうなのかを点検していきます。
一応合格といえるのは80点以上です。
もちろん、80点は最低の評価なので、常に90点以上をめざす気持ちを、スタッフ全員に持たせる必要があります。
そのため、このチェックの結果はスタッフ全員に公表し、反省する材料にしなくてはなりません。
また、評価の基準は明確でなければなりません。
この基準がバラついていてはチェックの意味がなく、スタッフの理解や協力も得られません。
お店の付加価値をつくり出すのはスタッフです。
スタッフの理解と納得がなければ、問題点の発見はできても改善することはできないのです。
クレームにあわてず適切に対処するために必要なこととは?
飲食店ではいろいろなクレームが発生します。
また、発生する可能性は常にあるといっていいでしょう。
クレームといっても、すべてが深刻なものというわけではありません。
商品やサービス、雰囲気に対するちょっとした不満という場合も少なくありません。
いずれにしろクレームは大切なお客様の注文です。
しかも、お客様は気分を害しています。
そのため、きちんとした対応が必要です。
クレームは嫌なことだと、捉えられています。
そのため、なんとかその場をやり過ごそうとしてしまいますが、それでは進歩はありません。
クレームを100%防ぐことは不可能です。
しかし、クレームが発生したとしても適切な対応をしていれば、お店に対する評価を高めるチャンスも出てきます。
そして、スタッフの成長のきっかけにもなります。
ただ、クレームにはいろいろなケースがあります。
しかも、クレームは突発的に発生するものです。臨機応変に対応するのも難しいでしょう。
そのため、どんな時にどんなクレームが発生するのかをあらかじめ想定して、対応の仕方を考えておく必要があります。
いつ発生しても、スタッフ全員がきちんと対応できるように、対策をしておくのです。
クレームが発生することは仕方がありません。
しかし、傷口を広げて最悪の結果を招くことだけは、絶対に避けなければなりません
クレームへの対応で最も大事なことは、お店側の心構えです。
「お客様は絶対に正しい」という理念を徹底しておく必要があります。
飲食店は、お客様が楽しく過ごすためにあります。
その楽しい気分を害してしまったのだから、まずは謝罪しなくてはなりません。
このような心構えをお店のスタッフ全員に徹底することが大切です。
たとえば、料理に関するクレームでも、お客様はたまたま近くにいたサービススタッフに苦情をいいます。
それでも、そのスタッフは自分のミスとしてお客様に謝罪しなければなりません。
もちろん、解決のための対応は責任をとれる店長がおこなう必要があります。
しかし、最初の対応をしなければならないのはサービススタッフです。
だから、共通理解が大切なのです。
一般的なクレームに対応する手順
①絶対にお客様に言い訳してはいけない。どんな理由であっても、まず素直にお客様にお詫びする。
②お客様の話は最後まで真面目な態度で聞く。途中でお客様の話を遮ってはいけない。
③お客様のクレームをひと通り聞き終えたら、改めて誠心誠意謝罪する。
④責任者を呼んでくることをお客様に伝える。
⑤事の成り行きを責任者に報告する。どんな些細なことでも省略せず、事実を正確に報告することが大切。
クレームを聞くのは、だれしも気持ちのいいものではありません。
しかし、お客様はお店に期待しているからこそ、あえてクレームを言ってくれます。
そういう理解ができてこそ、お店の発展のためにクレームを活かすことができます。
お客様のクレームを活かすには、原因を徹底的に究明することが大切です。
ふつうお客様は、少々の不満くらいではクレームをつけたりしません。
それでもクレームが出るということは、お店側に何らかの問題点があると考えるべきです
原因が究明できなければ、本当の解決にはなりません。
しかも、一度発生したクレームは、二度、三度と繰り返される可能性があります。
うわべだけの謝罪では、お客様を失ってしまうことにもなりかねないのです。
店舗改装により売り上げ不振を打開する方法
お店を改装しなければならない理由は、売り上げ不振の打開です。
売上げが落ち込んで、回復の見込みが立たなくなった時が、改装に踏み切らなければならない時期となります。
逆にいえば、売上げがきちんと上がっている時は改装の必要はありません。
必要がないどころか、改装したことがマイナスになってしまうこともあります。
たとえば、親から子へ代替わりするケースです。
代替わりを機に全面改装したけれど、そのためにお客様離れを起こしてしまうケースは少なくありません
この問題は、自店の立地や客層、業態を無視して、安易に自分好みのお店をつくってしまうことで起こります。
それまで支持してくれていたお客様を無視しているので、お客様離れが起こるのも当然なのです。
店舗の老朽化による改装の場合でも、新店舗のデザインは従来の客層や利用動機、お店の評判などをよく考慮して、慎重に決定する必要があります。
なぜなら、店舗の老朽化が進んでいなければ、現在の店舗でお客様は十分に満足しているからです。
改装によってお店の雰囲気を変えることは、賭けになってしまいます。
一方、不振打開策としての改装の場合は、これとはまったく反対の効果を狙います。
売上げが落ち込んでいるということは、現状のお店にお客様は満足していないということです。
お客様が満足してくれない原因は様々ですが、現在の店舗はマイナスイメージで塗り固められてしまっているのです。
繁盛はさらにお客様を呼ぶ相乗効果を生み出しますが、不振店はどんどんお客様が減っていく悪循環に陥ってしまいます。
そのような現状を打開するには、お店のイメージを徹底的に変える必要があります。
それまでの印象を忘れてもらい、新しいお店としてみてもらうことが再建への第一歩になります。
だから、改装が必要なのです。極端にいえば、新規オープンと同じです。
また、商圏内に強力な競合店が出店してきたり、地域の開発事業などによって客層が変わったりすることもあります。
このような場合は、業種や業態の変更に踏み切るための改装になるので、これも新規オープンと変わりません。
ここまでは全面改装をするケースです。
そして、そこまでの必要がない場合は、部分改装ということになります。
これは、厨房部分だけの改装と、客席ホールのみの改装に大別されます。
厨房の改装は、作業の効率化や作業環境の改善を狙うものです。
これまでの経験と反省を基に、より使いやすい厨房を目指すことになります。
厨房機器類や空調関係は投資額が大きくなります。
先行投資と過大投資の見極めが非常に重要になります。
注意したいのは客席ホールの改装です。
改装するのだから、その分が売上げとして上積みされなければ意味がありません。
ただし、変にケチるとかえって逆効果なこともあります。
できるだけ少ない費用でそれなりの効果を挙げるポイントは、できれば内装業者に依頼しないことです。
業者に依頼するとしても、業者のいいなりになってはいけません。
お店の雰囲気は、ちょっとした工夫でずいぶんと変わります。
まずはその工夫から考えてみましょう。
お客様の立場になって店内をよく見回し、お客様の目が行きやすい部分を見つけます。
そこに装飾や変化をつけるだけなら自分でできます。
お店に新鮮さを印象づけるポイントをつくることが大切なのです。
多店舗展開で成功を収めるために最も必要なものとは?
多店化は基本的に、支店の出店とフランチャイズチェーンの展開に大別されます。
ただし、フランチャイズチェーンの立ち上げは簡単なことではありません。
ここでは、お店の規模にかかわらず実現できる支店の出店について説明しましょう。
一般的に、支店経営には次の三つのケースがあります。
①これまでのお店と同じようなお店(同業種・同業態)を出す。
②業種はそのままで業態を変える。
③別業種のお店を出店する。
これらのどのケースなら成功するということはいえません。
ただ、業種や業態を変える場合は、別業態や別業種の経営について十分に勉強する必要があります。
勉強をおろそかにして、安易に別業態や別業種に手を出して失敗するケースは少なくありません。
チャレンジ精神は必要ですが、無謀な挑戦では成功できません。
また、多店化を考えるということは、現在のお店がうまくいっているからでしょう。
もう一店出店することで、より大きなビジネスに成長させることができます。
飲食業は、ビジネスをどんどん拡大して成長させていけるところに、ビジネスとしての魅力があります。
ただし、一店目で成功したからといって、二店目もうまくいくとは限りません。
なぜなら、最初のお店の成功ノウハウをそのまま利用できるわけではないからです。
同業種・同業態の支店だとしても、最初のお店のコピーでは成功は難しくなります。
同業種・同業態のお店の場合でも、ビジネスの規模が大きくなるのだから、さらに深く勉強しなければなりません。
二店目といっても、新規オープンと同じことなのです。
多店化で成功するために最も重要なことは、自分の代わりにお店を任せられる人材の確保です。
つまり、信頼できる店長が不可欠ということです。
店長とは経営者の代行者です。
結果的にお店を任せる人が店長というわけにはいきません。
店長とは、最初から任せられる人材でなければなりません。
自分で育てるにしろ、引き抜くにしろ、本当に信頼できるパートナーなしに、確実な成功は望めません。
なぜならパートナーが必要な理由は、一人の経営者が複数店舗を完全に管理することはできないからです。
一店だけなら、経営者自らが先頭に立って働くことができます。
だから、行き届かないところや失敗があっても、なんとか対応することができたのです。
また、経営者が常に現場にいれば、スタッフの士気も向上します。
しかし、二店目を持った時から、このやり方は通用しなくなります。
通常、支店を出店すると、経営者はしばらくの間、支店の運営にかかりきりになります。
支店の経営が軌道に乗るまでは、支店に全力投球しなければならないのです。
しかし、経営者が支店に没頭していたら、本店に隙が生まれます。
自分がいなくてもなんとかなるだろうという期待は、大抵裏切られてしまうのです。
これが、支店出店で失敗する典型的なパターンです。
とは言え、支店を他人に任せればいいというわけでもありません。
経営者の代行者として力量のない店長に、支店を任せることはギャンブルのようなものです。
信頼できる店長なしに支店を出店することは、本店も共倒れにするリスクを背負っています。
パートナーとなる人材の確保と同時に考える必要があることが、お店のシステム化です。
パートナーがみつかったとしても、パートナーはあくまで経営者の代行者です。
たとえば、支店を任せるといっても、パートナーの好きなように経営していいということではありません。
パートナーとは、経営者の代わりに、経営者の方針を実現してもらうための人材なのです。
現場のスタッフも、お店のトップが二人いたら必ず混乱します。
これも、支店出店で失敗する大きな要因になっています。
システム化とは、混乱を招かないように、本店、支店ともにお店の運営方法を統一しておくことです。
マニュアル化はその一環ですが、たんなる作業の指示だけでなく、スタッフの心構えや店内でのルールなど、細かい点についても意思統一を図ることが、多店化の成功には絶対に不可欠となります。
問題点を改善し、飲食店を繁栄させよう
このように、お店を長期的に繁栄させるためには、お店の問題点をあぶり出し改善を続けなくてはなりません。
また、他店や流行に学び、戦略的に良い部分を伸ばす必要があります。
ぜひこの記事を参考にし、あなたのお店をいつまでも繁盛する人気店に成長させてくださいね。