飲食店経営で失敗しない経営の基礎を徹底解説

飲食店で成功するためには、お店をつくるだけではいけません。

また、料理が美味しいだけでもいけません。飲食店で成功するためには、お店をしっかりと運営する力が必要になります。

 

飲食店をはじめてオープンする人は、経営の経験がない人も多く運営方法も分からないかもしれません。

そこでここでは、飲食店の運営の基本を紹介していきたいと思います。

 

飲食店でかかる原価の基本を理解する

飲食店の経営にはさまざまな原価がかかります。

そして、原価の内訳は、基本的にお店の規模には関係ありません。規模によって違うのは金額です。

 

飲食店の原価は、次の二つの費用に分けられます。

①固定費

②変動費

 

固定費とは、売上の増減にかかわらず必要になる一定の費用です。

売上げがゼロだとしても、営業している限り支払う必要があります

 

一方、変動費とは、売上の増減に応じて変化していく費用です。

しかし、売上高がゼロの場合も、現実的に変動費がゼロということはあり得ません。

 

次に、それぞれの費用の内訳を説明していきます。

まず、固定費の代表的なものは、家賃と人件費です。

家賃は、店舗を借りている間は常に発生する費用です。

営業日数や時間には関係なく、一定額が毎月発生します。

そのため、売上が伸びない時の家賃は、飲食店にとって大きな負担となります。

 

人件費は、固定費に分類される費用ですが、正確には固定費と変動費の両方の性格を持つ費用です。

固定費に含まれるのは、社員の基本給と家族手当くらいだからです。

パート・アルバイト費は、売上に応じて変化します。

パートやアルバイトを使うのは、人件費を削減するためだからです。

売上に応じて変化できなければ、意味がありません。

 

減価償却費は、店舗の内装設備をつくった費用を、法定の耐用年数に基づいて、毎年損金として処理していく費用です。

内装や設備機器は、何年にもわたって使用する固定資産になります。

そして、使用している間は利益を生み出します。

その費用を購入した年に、一度に損金処理をしてしまう不合理というわけです。

そのため、稼働期間に按分して損金処理を行います。

 

減価償却費は、帳簿上では経費として扱われますが現金は手元に残ります

なぜなら、現金は設備を導入した年に支出されているからです。

つまり減価償却費は、実際には内部留保されるお金になります。

そのため、通常は借入金の元本返済に当てられます。

この費目があるため、借り入れがしやすくなるのです。

 

その他の固定費には、支払い金利、諸税(固定資産税、自動車税)、火災保険料、法定福利費などがあります。

そして、これら家賃、減価償却費、支払い金利の三つの固定費を合わせて「初期条件」と呼びます。

オープン時から金額が決まっていて、動かすことのできない条件という意味です。

 

次に変動費ですが、代表的なものは材料費です。飲食店は、材料費が最も金額の大きい費用となります。

しかも、商品の付加価値が経営に大きく影響します。

諸経費は、エネルギー費(水道光熱費、冷暖房費)、物件費(消耗品費、事務用品費、修繕費など)、販売促進費(広告宣伝費など)、その他の雑費に分けられます。

これらのうち最も費用がかさむのは、エネルギー費です。

 

確実に利益を出せるたった一つのポイント

利益は、売上高からすべての経費を差し引いた残りの金額です。

そのため、売上高を大きくしていけば、利益も大きくなっていきます。

 

もちろんこの考えも正しいですが、もう一つ大事なことがあります。

それは、経費の大きさです。

たとえ売上高が上がったとしても、それ以上に経費がかさんだら利益は増えません。

経費が増えすぎると、場合によっては利益が少なくなってしまうこともあるのです。

 

飲食店の経営は、支出と収入の繰り返しです。

そこで確実に利益を出していくためには、売上高を少しでも大きくする努力と、常に経費を適正な範囲内に収める管理が不可欠になります。

 

大事なのは、目標利益を確保するために必要な売上高と、かけてもいい経費の計数的な見通しを明確に持つことです。

つまり、原価意識を徹底しなければなりません

 

お店をオープンするためには、さまざまな費用がかかります。

そして、営業を開始すると、材料費、人件費、家賃、水道光熱費などの費用がかかるほか、開業費用として調達した借入金の返済もする必要があります。

利益はこれらの支出を超える金額の売上げがあって、はじめて確保することができます。

原価意識が甘いと、目標利益の確保ではなく、残ったから利益ということになってしまいます。

 

減価償却費の枠を考慮せずに大きな借り入れをすれば、返済が苦しくなります。

そこで利益も削ることになりますが、それでも間に合わない場合は資金繰りが行き詰まってしまいます。

利益と売上高とは比例するものではありません。

利益は経営努力によって生み出すものなのです。

 

では、どのように経費をコントロールすればいいのでしょう。

そのポイントは変動費にあります。

そして、変動費の中でも人件費が重要になります。

人件費には、固定費と変動費の二つの面があります。

 

社員人件費の本給と家族手当は固定費ですが、パート・アルバイト費は固定化する必要はない費用のため、本質的には変動費になります。

そして、確実に利益を生み出していくには、人件費をできるだけ変動費化していく必要があるのです。

 

社員数を減らし、パートやアルバイトを戦力にすれば、曜日や時間帯などで細かく人件費をコントロールすることができます。

その結果、売上高が上がっても、人件費の上昇を小さく抑えることができるのです。

実際、チェーン店や大型店のスタッフの大半が、パ-卜やアルバイトで占められているのはこのためです。

 

実際問題を考えると、スタッフ3、4名で運営する小規模店の場合は、厳密な人件費コントロールまでは必要ありません。

固定費としてとらえても大きな違いは出ないでしょう。

しかし、小さな費用も積もれば大きくなります。

常に売上げに応じたコントロールを念頭におくことで、利益も大きく変わってきます。

 

損益計算書を活用して問題を潰す方法

一定期間のお店の営業成績を明確にするために、すべての費用と収益を洗い出して検討する必要があります。

このすべての費用と収益を、一覧表にしたものが損益計算書です。

そのため、損益計算書を見れば、どれだけ儲かったか、もしくは損をしたかということが、ひと目で分かります。

 

さらに、営業にかかるすべての費用を計上してあるため、各費用の対売上高の割合を知ることもできます。

そして、その割合が適正かどうかも判断することができるのです。

 

つまり、ここに示された数字が、飲食店経営の計数管理の基本になります。

金融機関から借り入れをする時、必ず損益計算書の提出を求められるのは、そのお店の収益性と経営体質を判断できるからなのです。

 

では、損益計算書に記載する項目を見ていきましょう。大分類では、次の七つの項目に分かれます。

①売上高

②材料費

③粗利益高

④人件費

⑤諸経費

⑥初期条件

⑦経常利益

 

粗利益高とは、売上高から材料費を引いた残りの金額で売上総利益高ともいいます。

材料費以外の費用の支払い能力と利益高は粗利益高によって決まり、特に重要になるのは人件費の支払い能力です。

 

一般的に、人件費率は粗利益高の40%が上限とされています。

それと同時に、材料費とのバランスも重要になります。

材料費率と人件費率の合計で、対売上高60~65%以内に収めないと、利益の確保が難しくなります。

 

初期条件とは、家賃、支払い金利、減価償却費の三つの固定費の合計です。

オープンの最初から支払い金額が決まっていて、変更や調整ができない条件という意味です。

そのため、利益を出やすくするためには、初期条件をできるだけ低く設定する必要があります。

初期条件の適正値は20%以内です。これを超えてくると、売上高があっても利益が出にくくなってしまいます。

 

損益計算書は、お店の収益性と問題点を教えてくれます。

もし実績と指標との差が大きい場合には、その原因を徹底的に究明し改善しなければなりません。

計数管理の目的は改善なのです。

 

経営効率が把握できる経営効率表の活用法

経営者なら、経営効率が気にかかることでしょう。

しかし、飲食店の経営は支出と収入を毎日繰り返すため、問題点が発生していてもなかなか気づくことができません。

そこでオススメなのが、経営効率表の活用です。

 

売上予算の管理は、目標の利益を確保するため、売上高、材料費、人件費、諸経費などの予算を実現することです。

そのため経営者は、各月ごとに実績と予算を比較し、予算を実現する必要があります。

 

たとえば、損益計算書で儲かっていない場合は、お店の運営方法に問題があるということです。

しかし、その本当の原因と改善すべき点は、損益計算書では具体的につかむことができません

そこで、その検討材料として経営効率表を作成するのです。

利益が出ている場合でも、この効率表は有効です。

どうすればもっと儲かるのか、そのヒントを教えてくれます。

 

お店の収益を決める損益分岐点売上高とは?

経営の目的は利益を上げることです。

そのために、いろいろな経費を使い売上を上げていきます。

利益は偶然の結果ではいけません。目標利益を確保する見通しの上で、経費をコントロールしなければ経営とはいえません。

この見通しを立てる上で重要になるのが、損益分岐点売上高です。

 

損益分岐点売上高とは、売上高と経費の総額が同じ状態の売上高です。

いわゆる収支トントンという状態です。

つまり、売上高が損益分岐点を超えてはじめて利益が出るということです。

経営者として、絶対に把握していなければならない数字といえるでしょう。

 

最低必要な売上高の求め方

損益分岐点売上高は、売上高と総費用が同じになる売上高です。

そして売上高は、固定費と変動費と利益に分解され、売上高から変動費を引いたものが限界利益となります。

つまり、損益分岐点売上高は、固定費と限界利益とが同額になる売上高ということもできます。

そして、限界利益から固定費を引いた残りが利益になります。

 

損益分岐点売上高とは、利益がゼロの売上高と考えることもできます。

つまり、最低必要な売上高は損益分岐点売上高ではありません。

損益分岐点を超え、ある程度の利益が出る売上高でなければならないのです。

そこで、目標利益も固定費として設定して考えます。

すると、損益分岐点売上高は、自動的に目標利益を確保するために必要な売上高になります。

 

経営において最も大事なことは、どの時点から利益が出るか知っておくことです。

その基本となるのが、損益分岐点売上高です。

損益分岐点は、低ければ低いほど利益が出やすくなります。

逆に損益分岐点が高いと、売上が高くても利益が残らないことになります。

 

たとえば、家賃が高すぎたりスタッフの人数が多すぎたりすると、損益分岐点を押し上げてしまいます。

損益分岐点を下げるには、まず固定費を下げさらに変動費をできるだけ抑える必要があります。

ただし固定費については、人件費くらいしか変更が効きません。

しかし、変動費は管理努力によって下げることができます。

 

意外と知らないあなたのお店の競合店

競合店とは、お客様を奪い合う関係にあるお店のことです。

しかし、近所にある飲食店が、すべて競合店というわけでもありません。

どんなにたくさんの飲食店があっても、直接競合するお店は限られます。

それは業態の同じ飲食店です。

 

飲食店ビジネスは、業態発想で戦略的にものごとを考えることが基本です。

飲食店の場合、業種発想になっていることが多いです。

業種を基本に考え、それが経営方針になっています。

 

もちろん、業種らしさの追求も繁盛のための大事なポイントです。

しかし、競争相手も業種で考えるのは間違いです。

競合店は同じ業種のお店だけでなく、商圏内の同業態の飲食店がすべて競合店となるのです。

 

基本的に業態の違うお店同士では、お客様の奪い合いは起こりません。

なぜなら業態が違えば、お客様の利用動機が変わるからです。

お客様が、飲食店を選ぶ時の最大のポイントは価格です。

そして、お客様の予算を決めるのは、その時の利用動機です。

 

日常的な食事、大事な人との会食、仲間同士で楽しむためなどなど、飲食店の利用にもさまざまな利用動機と予算があります。

そしてお客様は、その予算に合った業態の中から、気に入ったお店を選ぶのです。

業種ではなく、業態が前提条件になります。

 

もちろん、食べたい料理を先に決めている場合もあります。

しかし、ほとんどのお客様は、予算を無視してお店を決めません。

そのため競合店は、同じ利用動機を奪い合う関係にあるお店ということなのです。

 

もう一つ、競合店を考える時に重要なのが商圏です。

商圏内の同業態の飲食店はすべて競合店になりますが、商圏の広さは業態によって変わります。

一般的に、商圏は価格が低くなるほど狭くなります。

なぜなら、低価格の業態は、お客様の利用動機がより日常的で利用頻度が高くなるからです。

 

反対に、価格が高くなるほど商圏は広くなります。

たまのごちそうや恋人とのデートなど、お客様の利用動機が非日常的になるので利用頻度は低くなります。

 

また、低価格業態はお客様の利用頻度が高いため、同一エリア内での出店数が増える関係にあります。

つまり、商圏が狭い業態ほど競合店が多くなるということです。

そして、同じ利用動機を奪い合うため、同一業態内では必ず価格競争が起きます。

このような競争にも負けない商品力や経営体質を持つこが、業態発想の戦略的思考なのです。

 

お客様の利用動機をお店の運営に活かす方法

飲食店を利用する理由は、おなかが空いた、お茶を飲んでひと休みしたい、お酒が飲みたいなどといった理由が考えられます。

しかし、これらの理由は、飲食店の利用を考える「きっかけ」にすぎません。

ここで問題となるのは、お客様はお店を選ぶということです。

空腹を満たすためなら、どこでもいいというわけではありません。

 

お客様がお店を選ぶ決め手は利用動機です。

飲食店を利用する基本的な理由は「飲食」ですが、「飲食」は時と場合によって意味合いが大きく違います。

 

たとえばランチでも、ふだんのランチと接待のランチでは予算も選ぶお店も違ってきます。

つまり、実際の消費行動には、利用の仕方や誰と利用するかといった、利用動機が大きな意味を持ってくるのです。

 

このように、お客様は利用動機によって飲食店を使い分けています。

言い替えれば、利用動機によって、利用するお店の業態が違ってくるということです。

ここで重要なことは、利用動機は「日常的利用動機」と「非日常的利用動機」に大別されるということです。

 

たとえば普段のランチは、とりあえず空腹を満たすことが主な目的なので「日常的利用動機」です。

このような日常的利用動機は、発生頻度が非常に高いため予算は限られます。

 

また、通常はあまり遠くまで出かけることはありません。

そのため、日常的利用動機を相手にするお店は、狭い商圏でも成り立ちますが、競合店の数も増えてきます。

 

一方、ランチのための利用でも、接待などの場合は「非日常的」な利用になります。

この場合、普段の安いお店ではなく、案内しても恥ずかしくないお店を選びます。

恋人とのディナーや、家族との団らんなども同様です。

飲食の場を利用して、普段と違った楽しさや心の豊かさを味わうことが目的になります。

そのため、予算も高くなるのです。

 

ただし、非日常的利用動機を取り込めるお店は高級店とは限りません。

日常的利用動機は予算が低く、非日常的利用動機は高くなりますが、これは大衆店と高級店の利用動機という意味ではありません。

予算で比較すれば、非日常的利用動機のほうが高くなる可能性が高いということです。

ポピュラープライスのお店でも、お客様にとって魅力があれば、非日常的利用動機を十分に取り込むことはできます。

 

お店の業態に合った商圏の決め方

商圏とは、お店がお客様を呼び込むことができる範囲のことです

商圏は、お店をオープンしてから決まるものではありません。

商圏を設定してはじめて、出店する適合立地が決まります。

 

一般的に、商圏は距離と人口で表します。

しかし、正確にはお店からの時間と人口で測るべきです。

 

ここでいう時間は、徒歩による所要時間とは限りません。

たとえば、自転車利用のお客様の場合、同じ所要時間でも距離はかなり遠くなります。

バスや電車を利用する人が見込める場合も同様です。

時間で計ることが重要な理由は、お客様が消費行動を決定する要因は、目標店までの距離ではなく所要時間だからです。

 

商圏の広さは、業態によって変わります。そして、価格が高い業態になるほど、商圏を広く設定する必要があります。

なぜなら、価格の高い業態は、お客様の利用頻度が低いからです。

 

その分、多くの顧客を抱える必要がありますが、競合店の数は少なくなります。

 

お客様の利用頻度は、価格の低い業態になるほど高くなります。

そのため、価格の低い業態のお店は商圏が狭くても成立します。

その代わり、競合店の数は多くなります。

 

また、商圏の広さは商品の特性によっても変わります

たとえば、焼肉のようなヘビーな食事はたまに食べれば十分なので、非日常的利用動機の商品になります。

 

来店頻度が低いため、商圏は広く設定しなければなりません。

反対に、ラーメン店のように日常的利用動機を狙うお店は、狭い商圏で十分になります。

 

ここで、業態別の標準的商圏人口と来店所要時間の目安を挙げておきます。

 

・500円まで…15000~20000人、5分以内

・500~1000円…30000~60000人、10~20分

・1000~2000円…60000~10万人、20~30分

・2000~5000円…10万人以上、1時間

・5000円以上…50万人、基本的に無制限

 

以上はあくまで目安です。

商圏人口を満たしていなくても、繁盛しているお店はたくさんあります。

 

自店の商圏の設定は、この標準来店所要時間を参考に、一次商圏、二次商圏、三次商圏を設定します。

標準の所要時間ぎりぎりのエリアを二次商圏、その半分の所要時間までの範囲を一次商圏、二次商圏の所要時間の1.5倍程度までの範囲を三次商圏とします。

 

駅やデパート、大型スーパーなどがある場合、この方向の商圏は広めに設定できます。

また、片側二車線以上の道路や鉄道、川などがある場合、商圏はそこで遮断されてしまいます。

 

一等地と二等地の違いとは?

飲食店の経営には、立地条件が大きく影響します。

立地によって発生する利用動機や客層が異なり、業種業態によって成功しやすい立地と成立しにくい立地もあります。

 

しかし、一等地や二等地という評価は、立地条件には必ずしも結びつきません

たとえば、交通の便がいい場所や店前通行量が多い場所は、飲食店の立地として有利な条件とされています。

しかし、それはあくまで不動産業者による評価です。そして、一等地なら必ず成功できるというわけではないのです。

 

一等地の根拠は、人通りが多いということです。

人が多ければ利用動機も頻繁に発生し、客層も多様になります。

しかし、有利とされる立地には多くの飲食店が出店しています

つまり、競争もシビアになるのです。

 

さらに、家賃や保証金も高くなります。

固定費の家賃が高くなると、お客様が入っても利益に結びつきにくくなります。

また、固定客づくりにも向いていません。

 

一方、二等地や三等地は、駅から離れていたり路地裏や路地奥に位置していたりします。

つまり、人通りが少ないといった不利な条件を抱えています。

 

しかし、そのような二等地、三等地で繁盛しているお店はたくさんあります。

住宅地などは最悪の立地のようですが、最近ではこの立地での繁盛事例も少なくありません。

二等地は立地条件が悪いため、家賃や保証金が安くなります。

そのため、一等地ほどの売上がなくても利益を出しやすくなります。

しかも、出店を敬遠される傾向があるため、飲食店の数自体が少なく固定客化しやすいというメリットがあります。

 

飲食店立地として本当に大切なことは、不特定多数の人がたくさんいることではありません。

肝心なことは、自店がターゲットとする客層が多い、想定する利用動機の発生確率が高い、設定客単価が受け入れられるといったことです。

 

飲食店の繁盛の秘訣は、お客様の「目的」になることです。

多くのお客様に「あのお店に行きたい」と思ってもらうことができれば、無理して一等地に出店する必要はありません。

お客様は目的意識があれば、多少不便でも来店してくれます。

商店街のはずれや路地裏、住宅地といった不利そうな立地でも繁盛できるのはそのためです。

 

飲食店は、立地のよさだけでは繁盛できません。

お客様を呼び込むパワーは、商品、サービス、雰囲気の三つの付加価値の総合力で決まります

そもそも、すべての業種業態に適合する立地はありません。

大事なことは、自店の適合立地を探し出すことです。

 

商品のレベルを一気に上げる基準のつくり方

商品力アップは、飲食店の永遠のテーマといえるでしょう。

競合店との差別化は、商品力を高める努力なしには実現できません。

商品力というと、まず調理技術を思い浮かべるのではないでしょうか。

そして、調理経験がほとんどない場合、商品力など持てないと考えてしまいます。

 

実はそんなことはありません。

たしかに高い調理技術があれば、商品力は格段にアップします。

しかし、商品力の要素はそれだけではないのです。

商品力の最も基本的な要素は、お客様が買いやすく信頼される商品です。

 

買いやすい商品であることは、価格政策の問題です。

そして、お客様に信頼されるには、常に一定の商品を提供しなくてはなりません。

常に商品が一定でなければならない理由は、定価をつけてお客様からお金をいただくからです。

同じ料金を支払っているのに料理の内容にバラツキがあるようでは、お客様の信頼を得ることはできません。

 

商品のレベルアップをめざすには、常に一定の内容という最低条件を完璧にクリアする必要があります

飲食店の商品で一定でなければならない内容は、味、量、盛りつけ、材料原価、提供時間の五つです。

そこで不可欠になるのが調理マニュアルです。いつ、だれがつくっても、常にこの五つの要素を同じにするには、五つの要素を標準化しなければなりません。

高い調理技術を誇る高級レストランでも、調理マニュアルなしには成り立たないのです。

 

また、調理担当者のカンに頼った調理をしていると、材料原価の正確な管理もできなくなってしまいます。

そうなると、材料ロスが発生する確率も高くなります。

 

調理マニュアルの基本は、次の二つの基準表です。

①仕込み基準表

②メニュー基準表

 

基準表として機能するための条件は、その調理に必要な工程と材料をすべて標準化することです。

たとえば、仕込み基準表では、仕込む量、使用材料の数量と単価、合計金額を決めます。

材料は、調味料類まですべて書き込みます。

 

調理手順では、使用する道具、機器類、扱い方、所要時間、注意事項なども細かく記入しておきます。

特に、仕込みは、技術的には難しくないためアルバイトが担当することも多いでしょう。

しかし、最終調理の味は仕込みで決まってしまうのです。

 

メニュー基準表は最終調理のマニュアルなので、調理手順と盛りつけが非常に重要な要素になります。

盛りつけの形状については、写真を添付しておくようにしましょう。

 

サービスの質を向上させるマニュアルを最大限活用する方法

飲食店においては、接客サービスも重要な要素となります。

自分がお客様の立場になれば、サービスの質がお客様の印象を左右することがよく分かります。

 

接客サービスは、個々のサービススタッフがそれぞれサービス技術を磨いていけば向上します。

しかし、このやり方だと、お店としてのサービスレベルは向上しません。

なぜなら、スタッフ個人の能力に大きく左右されてしまうからです。

 

飲食店では、接客サービスについても均質性が求められます。

いつ、だれが接客しても、均質で質の高いサービスを提供することが、お客様に信頼されるお店になるための最低条件なのです。

 

そのためには、サービススタッフ全員がきちんと仕事ができることが大前提になります。

その基本をマスターさせるために必要なのが、サービスマニュアルなのです。

 

接客用語や動作、お客様に対する基本的な態度などは、マニュアルなしに統一することは不可能です。

だから、教育・訓練ではまず、この基本を徹底して教え込みます。

しかしそれらは、接客サービスそのものではありません。

その基本をベースに、スタッフ一人一人のよさを生かすことで、はじめてお客様に響く質の高いサービスを実現することができます

 

接客サービスの基本は次の二つです。

①いつも絶やさない笑顔

②明るくテキパキとした態度と接客基本用語

 

それほど難しい事ではありません。

にもかかわらず、よいサービスが難しいのはなぜでしょう。

 

それは、マニュアル習得が目的になってしまっているからです。

接客に最も大切な「心」が忘れられ、テクニックに目が行ってしまっているのです。

いつも笑顔というのは愛想笑いのことではありません

まずはお客に感謝の気持ちを表し、その上で暖かなおもてなしをするための笑顔です。

 

接客は人間対人間の仕事です。

言葉や動作がスムーズでも、それだけではお客様に満足を提供することはできません。

マニュアルは、つくり方と運用の仕方で効果が全然違います。

たんなるテクニックではなく、お客への感謝の心を伝えるための教育を念頭に作成し、常にその教育を徹底していく必要があります。

 

細部までピカピカになる清掃を徹底する方法

お客様の健康を預かる飲食店には、衛生管理義務があります。

しかし、本当に清潔感がみなぎっているお店はそれほど多くありません。

飲食店に求められるのは、飲食する場としてふさわしい清潔感です。

お店のすべてをピカピカに磨き上げるレベルでなければ、合格とはいえません。

 

徹底的でハイレベルな清潔感を維持することを、クレンリネスといいます。

クレンリネスは、飲食店の付加価値の一つである雰囲気を構成する最も重要な要素です。

 

クレンリネスが実現できない理由は、スタッフの清潔感に個人差があるためです。

しかし、飲食店のスタッフとして働く以上、全員にお店の清潔感のスタンダードを守ってもらう必要があります。

スタッフ全員が実践しなければ、クレンリネスは実現できません。

 

スタッフ全員に清潔感のスタンダードを理解させるには、清掃マニュアルを整備する必要があります。

目指すべき清潔感と清掃の仕方を統一することで、スタッフの個人差を埋めることができるのです。

 

そのため清掃マニュアルには、どこをどのように清掃すればいいのかということを具体的に、分かりやすく指示しておく必要があります。

テーブルや窓の拭き方、隅の汚れを残さない掃除機のかけ方など、使う道具と使い方まで細かく指示します。

 

同時に、清掃頻度も指示する必要があります。

お店全体を汚れやすい箇所、目立ちやすい箇所から順に、一日何回、何時頃に実施するといった清掃スケジュールをつくり、常に計画的に実行するのです。

 

清掃マニュアルは、作成するだけでは十分でありません。

なぜなら、掃除はその人のヤル気に大きく左右される仕事だからです。

 

掃除が好きという人はあまりいません。

スタッフが「余計な仕事をさせられている」と感じていると、本当のクレンリネスは実現できないのです。

 

そのため、スタッフの意識改革にも取り組む必要があります。

お店の掃除も重要な仕事ということを、きちんと理解させる教育が不可欠なのです。

それにはまず、経営者がお手本になる必要があります。

 

ワークスケジュールづくりが重要な理由

競争が激化している現在、売上を飛躍的に上げることは難しいといえるでしょう。

そのため、確実に利益を上げるためには、ムダな経費をできるだけ削減しなくてはなりません。

特に人件費の扱いは重要です。

社員を減らしてパートやアルバイトに切り替えるのは、人件費を変動費化するためです。

しかし、その人数が常に固定されていては変動費化になりません。

 

一般的な飲食店では、季節、月、曜日、時間帯によって来客数に波があります。

にもかかわらず、いつも同じ人員配置をしていたら、効率が非常に悪くなってしまいます。

来客数が少ないと、人手が余りムダな人件費が発生します。

反対に、来客数が多いと対応しきれずに、機会損失を招いてしまいます。

 

このような事態に陥らないために作成する、来客数に応じた人員配置計画をワークスケジュールといいます。

季節、月、曜日、時間帯によって、人員配置を変えていくのです。

 

ただし、ワークスケジュールはたんなる頭数合わせではないことに注意が必要です。

きちんと教育・訓練した人員を必要な人数だけ、計画的に配置することがワークスケジュールです。

仕事ができない人員を何人配置しても、意味がありません。

 

つまり、ワークスケジュールによって人件費のムダをなくすには、スタッフ全員の教育・訓練を徹底する必要があるということです。

そして、スケジュールを作成する経営者は、スタッフ一人一人の能力や仕事の習得度を正確に把握しておく必要があります。

そして、経営者は全体の指揮・監督ができるように、代行を務められる有能なスタッフを一人でも多く育てなくてはなりません。

ワークスケジュールは、経営者の日頃の労務管理の集大成ということができるでしょう。

 

フランチャイズチェーンと直営チェーンの違いとは?

直営チェーンとは、一つの企業が複数の店舗を直営で展開しているチェーンのことです。

チェーンの拡大には膨大な投資が必要になり、チェーン展開のスピードはそれほど速くはなりません。

 

一方、フランチャイズチェーンとは、飲食店経営に関する独自の技術やノウハウを確立した企業が本部となり、加盟店にノウハウを提供することで店舗数を拡大していくチェーンです。

加盟店は独立した事業者なので、本部との資本関係はなく、それぞれの加盟店が投資をしてお店を運営します

そのため、本部は店舗数拡大のための資金を準備する必要がありません。

 

つまり、フランチャイズチェーンを本部の側から見ると、最小限の投資で店舗数と出店地域を拡大できるというメリットがあります。

新店出店の資金調達が必要ないから、チェーンを急速に拡大できるのです。

 

フランチャイズという言葉は、経営の手法という意味を持ちます。

経営の手法とは、具体的には本部が開発した飲食店経営のノウハウや商標、トレードマーク、それに付随するすべての特権を指します。

 

本部は加盟者と契約を結び、本部が所有するノウハウ、商標などの使用を許諾する見返りとして、一定の対価を徴収します。

対価とは加盟金やロイヤリティーです。

一方、加盟者は加盟金を支払うと同時に、事業に必要な資金を投下して、契約内容に則ってお店を運営しなくてはなりません。

このように、契約に基づく継続的関係がフランチャイズチェーンの特徴です。

 

本部と加盟店の関係には、次のポイントがあります。

①本部と加盟店との「共同経営」ではなく「共同事業」である。

②本部と加盟店は、別々の独立した事業者である。

③ビジネスの基本は本部と加盟店の継続的な契約関係で、チェーンはそのネットワークである。

④通常、加盟店の運営上のリスクについては、加盟店の自己責任の原則が適用される。

⑤加盟店の経営権は契約によって制限される。

 

つまり、本部と加盟店はあくまで別々の事業者で、互いに役割と機能を分担しながらチェーンを拡大していく関係にあるわけです。

そして、本部と加盟店は、チェーンの拡大によるメリットを受けることができます。

これが、直営店出店との根本的な違いです。

 

加盟店は契約によってチェーンの一員になりますが、契約関係は本部と加盟店の間、一対一のものになります。

チェーンは、その集まりで横並びのものでしかありません。

つまり加盟店同士は、直接の関係はありません。

どんなにチェーンの店舗数が増えても、ビジネスの基本は本部と個々の契約なのです。

 

また、本部と加盟店はともに独立した事業者であり、契約以上の関係にありません。

そのため、加盟店の運営上のリスクについては、加盟店の自己責任となります。

本部は、商品、サービス、店舗のすべてにわたってのシステム化されたノウハウを提供し、運営指導や援助を行います。

しかし加盟店がそれを生かせなくても、基本的に責任を負う必要がないのです。

 

フランチャイズチェーンは、全店同一のイメージのもとでチェーンを展開するため、本部も加盟店もマスメリットを享受できるビジネスシステムです。

そのため、加盟店が勝手な行動をしたら、チェーンとしての統一がとれなくなってしまいます。

 

また、商品ノウハウなど企業秘密になることは、絶対に外部に漏らしてはいけません。

そのため、本部は加盟店の経営権を制限する権利を持っています。

加盟店が契約に違反した場合は、本部はペナルティーを課すことができます。

 

なぜ、飲食店はフランチャイズチェーンでも失敗するのか

フランチャイズチェーンに加盟すると、店舗の経営に必要な全てのノウハウが本部から提供され、運営指導も受けられます

そのため、フランチャイズチェーンに加盟すれば、簡単にお店をオープンできると思ってしまう人も少なくありません。

フランチャイズチェーンに加盟すれば、大変な作業はすべて本部が代行してくれます。

そのために高いお金を払ってパッケージを買うので、楽と思ってしまうのです。

 

しかし、これは非常に危険な考え方です。なぜなら、本部はそのような期待に応える義務がないからです。

フランチャイズチェーンとは、本部と加盟店の「共同事業」です。

本部と加盟店は別々の独立した事業者で、加盟店の運営上のリスクについては自己責任です。

しかも、加盟店の経営権は契約によって大きく制限されます。

 

どんなに優れたフランチャイズチェーンに加盟しても、各加盟店の売上高は各店の条件によって決まります。

立地とお店の運営能力は各店によって差があるため、同じ結果にはならないのです。

 

一般的に優良本部の場合、立地や地域性の問題はオープンまでにある程度クリアされます。

不振店を出すとチェーン全体のイメージダウンにつながるため、契約前の審査や調査はかなり慎重に行われるのです。

しかも、その審査や調査には、それまでに蓄積されたデータが活用されるので、大きな誤差は発生しにくいといえます。

 

しかし、加盟店の運営能力については、審査できない部分があります。

審査の段階ではヤル気満々でも、オープンからしばらくすると、長時間の肉体労働にイヤ気がさしてしまうといったケースです。

しかし、それで失敗しても、自己責任でしかありません。

 

もちろん、オープン後も本部の指導や支援を受けることができます。

しかし、どんな事業にも必ずリスクがあることを忘れてはいけません。

実績に裏づけられたシステムが用意されているため、開業のリスクは小さいといえるでしょう。

しかし、成功できるかどうかは、オーナー次第なのです。

 

フランチャイズチェーンから学ぶべきこととは?

フランチャイズチェーンと一般の飲食店は、基本的には同じ飲食業です。

そのため、チェーン店から学ぶべきことはたくさんあります

たとえば商品やサービスも、売れているチェーンの完成度は高いといえます。

 

簡単に真似をすることはできませんが、お店の商品開発やサービス向上のヒントにすることはできるでしょう。

また、クレンリネスの徹底という点でも学ぶべきことは多いでしょう。

チェーン店のクレンリネスが優れている理由は、チェーンではクレンリネスがパッケージの基本方針になっているからです。

 

そして、それら以上に学んでほしいものが、、、

①単純化

②標準化

③専門化

この三つの原則です。

 

これらはチェーン・オペレーションの三大原則と呼ばれ、チェーン化における大原則ですが、その考え方は個店でも参考になります。

まず単純化です。

これは、個々の作業をだれでもできるようにすることです。

たとえば、包丁を使ってキャベツをきれいに千切りにするには訓練が必要ですが、スライサーを使えばだれでもできます。

 

しかし、だれにでもできる仕事でも、だれもが同じようにできるわけではありません。

単純化のために調理機器を導入しても、機器を使う基準がなければ同じ結果は得られません。

 

たとえば、フライヤーを使えばだれでも揚げ物ができます。

しかし、油の設定温度や揚げ時間がマチマチでは、出来上がりもバラバラになってしまいます。

そのため、作業プロセスや方法を標準化する必要が生まれ、その作業指示書が調理マニュアルなのです。

 

また、標準化は、接客サービスや清掃にも同様に必要です。

スタッフによるバラツキがない均質なサービスを常に提供し、クレンリネスを徹底するためにも、標準化の発想は不可欠なのです。

 

単純化と標準化は、個店の運営にも共通する部分が多々あります

多数の人間が働くお店を効率よく運営し、どのお客様に対しても常に公平に接する飲食店の原則を実現するために、最も合理的な考え方なのです。

最後の専門化は、お店の特色や魅力を高めて他店との差別化を進めることです。

 

飲食店の専門化における最大の課題は、商品の専門化です。

これは、材料の仕入れや調理・加工法、調理機器などをこれまでの仕事と効率的に組み合わせて価格を決定し、さらに市場調査をして効果を予測する一連の作業のことです。

 

このような商品づくりのトータルな活動を、マーチャンダイジングといいます。

個人店が簡単に真似はできませんが、参考になる考え方となるでしょう。

正しい飲食店経営を学び、失敗しないお店を開業する

飲食店をオープンするということは、経営者になるということです。

そのため、経営について素人では長くお店を続けていくことはできないでしょう。

ここで紹介した運営の基礎を身につければ、基本的なことは問題ないはずです。

ぜひ活用してくださいね。

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