今より売上を伸ばしたいと思うなら、販促活動を実施することは不可欠です。
黙っていてもお客様は来店してくれないのです。
とは言え、販促方法を間違えると広告費ばかりがかかり、経営を圧迫することになりかねません。
そこでここでは、効果的な販促方法をいくつか紹介していきたいと思います。
大切な広告費を無駄にしないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
- 1 新規客を開拓する基本的な方法
- 2 経営を安定させる固定客づくりの秘訣
- 3 お客様の本音が聞けるアンケートの実施法
- 4 最も効果的なサービス券の配布方法とは?
- 5 固定客をどんどん増やせるイベントの実施方法
- 6 「特別な日」で来店動機を促す方法
- 7 一年中宴会ニーズを取り込む方法
- 8 売りたい商品が売れるようになるPOP広告の活用法
- 9 今よりもっとお酒を売る方法
- 10 昼と夜の売上を最大化する二毛作商法とは?
- 11 さらに売上高を大きく伸ばす、とっておきの秘策
- 12 最も効率の良い客席レイアウトにする方法
- 13 なぜ女性客に好かれると売上げが上がるのか
- 14 飲食店は女性が成功の鍵
- 15 無名のお店がマスコミに紹介される方法
- 16 飲食店開業は販促物が売り上げを左右する
新規客を開拓する基本的な方法
飲食業は、一度お客様をつかまえたら成り立つビジネスではありません。
新規客を開拓し、次回の来店につなげ、固定客化するというサイクルの繰り返しが必要です。
つまり、新規客の開拓は、営業を続ける間は常に取り組まなければならないということです。
そこでここでは、新規客の開拓方法についてみていきましょう。
飲食店が成功する最大の条件は、一人でも多くの人にお店の存在を知ってもらうことです。
そのためにまず必要なのが看板です。
しかし、看板でお店の存在に気づいてくれた人が、必ずお客様になってくれるとは限りません。
そこで、通行人のハートを引きつける役割を果たすのが店舗の外観です。
外観は、看板では伝えられないお店の個性や業態を、分かりやすくアピールしなくてはなりません。
具体的にいうと、「入ってみたい」と思わせる、感じのよさと安心感を表現する外観デザインが必要です。
通行人の目を引きつけるには、センスのよさがありながら目立つ外観でなればなりません。
ただし、お客様はお店を開いて待っているだけでは、思うように来店してくれません。
どんなに感じのいいお店でも、競争相手は数え切れないほどあるのです。
たまたま入ってくれるお客様に期待するだけでは、繁盛することはできません。
新規客開拓は、こちらから積極的に来店する「きっかけ」を与えることが基本です。
たとえば、オープン宣伝で行うサービス券付きのチラシ配りやポスティングは、オープン後の告知としても効果的でしょう。
新規客の「きっかけ」になるのは、形の告知だけではありません。
ここで大事になるのが、地元密着の考え方です。
地元密着が有利な理由は、お客様の生活圏や仕事圏内にお店があるからです。
お客様にとって利便性が高ければ、来店頻度も高くなり固定客化しやすくなります。
また、地元のお店はお客様にとって安心感があり、評判が口コミで広がりやすいメリットもあります。
地元密着に徹するには、地元の人たちと交流を深めることが大切です。
たとえば、地域のサークル活動の集まりの場として、何かサービスをつけるのもいいでしょう。
また、町内の催し物があれば参加することも大切です。宣伝臭ささをなくし、自然にお店の存在をアピールできます。
親しみを感じてもらうことは、お客様になってもらうための第一歩なのです。
経営を安定させる固定客づくりの秘訣
お客様を固定化する上で、最も重要となるのが居心地です。
居心地にもいろいろな要素がありますが、肝心なことは、自分の居場所を感じられることです。
たとえば、自然と心が温まるようなサービスや、心からリフレッシュできる雰囲気があることです。
そして、これらの要素はモノではなく人のサービスによって生まれます。
料理や内装も大事ですが、それ以上に大事なことは「このお店は自分を大切にしてくれる」とお客様に感じてもらえるように努力することなのです。
固定客はお店のファンです。ファンになってもらうには、好感度が高くなければならないのです。
固定客化を考える上で、最も重要なことは好感度を追求することなのです。
以上のことを頭に入れた上で、固定客化の方法を考えてみましょう。
固定客化で最大のポイントは、お客様が得をする要素を付け加えることです。
つまり、お客様のお店に対する貢献度を平等に評価し、そのお返しをするのです。
二、三度くらいしか来店していないお客様と、月に何度も利用してくれるお客様を同じに扱うことは平等ではありません
。固定客には、固定客としての扱いを受ける権利があります。
そういうお客様の心理に応えるのです。
たとえば、ポイントカードをつくり、一定の点数ごとに金券などの形でお客様に還元してもいいでしょう。
ただし、ポイントの有効期間は長めに設定して、ポイントがムダにならないように配慮が必要です。
また、一定のポイントに達していないお客に現在の点数を知らせることで、来店動機を高めることもできます。
他には、抽選会を行ってグッズをプレゼントする方法や、商店街の協力店と提携して、どのお店を利用しても会員に特典がつく共通カードをつくるのも効果的です。
お客様の本音が聞けるアンケートの実施法
アンケートを実施しても、その結果がお店の改善に活かされていないケースが少なくありません。
これは、アンケートの方法に問題があるためです。
まず、アンケートに答えてくれるお客様は、基本的には自店に対して好意を持っているお客様です。
わざわざアンケートを書いてくれるということは、それなりに好感を持ってくれているという証拠なのです。
そのため、アンケート結果はどうしてもほめ言葉が多くなってしまいます。
また、選択肢から選ばせる方法もイマイチです。
なぜなら選択肢では、ほとんど人がどっちつかずの真ん中に丸をつけるからです。
なんとなく、無難なところに落ち着いてしまうのが、人間の心理なのです。
通常、真ん中は「普通」ですが、普通では具体的に何を改善すればいいか分かりません。
お客様の本音を聞きだしたいなら、形だけのアンケートでは意味がありません。
アンケートでは、「お客様の苦言や提案がお店をよくしていくので、遠慮せずに改善すべきところを指摘してほしい」という意思を明確に伝えなければなりません。
簡単に言うと、お客様がお店の「悪口」を書きやすくする工夫が必要になります。
アンケートに答えるのは、お客様にとって面倒なことです。
しかも悪口を書くのなら、スタッフには見られたくないでしょう。
そこで、スタッフには絶対に読まれないという保証を明確にしなくてはなりません。
カギ付きの投書箱を用意して、レジ前に置くといいでしょう。
また、アンケートは結局お店のためにすることです。
それなのに「タダ」でお願いしていては、協力してもらえないでしょう。
そこで、協力してくれたお客様には、ドリンク無料券くらいは提供したほうがいいでしょう。
できるだけ多くのお客様に回答してもらうためにも、それ相当のお礼は必要です。
最も効果的なサービス券の配布方法とは?
チラシやサービス券を配布する目的は、一人でも多くの人にお店の存在を知ってもらい、来店するきっかけをつくりたいからです。
そのため、最大の効果を得られる方法を優先し、経費をケチってはいけません。
飲食業は広告宣伝費を使わない傾向がありますが、それではシビアな競争に勝ち残れません。
たとえば、街頭でチラシを配布する場合も、ほとんどの場合お店のスタッフが行っています。
しかし、スタッフがチラシの配布ができるのは、午後のアイドルタイムなどのお店が暇な時間帯だけです。
ところが、その時間帯は基本的に人通りも少ないのです。
しかもその時間帯は、飲食店の利用動機も発生しにくいのです。
そんな時間帯に配布しても、効果を期待できません。
また、提供するサービス内容でも効果は大きく違ってきます。
お客様の心をくすぐるサービスでなければ、きっかけをつくることはできません。
魅力のないサービス券は捨てられるだけなのです。
すでに営業しているお店が販売促進の一環として実施する場合は、ドリンク無料券や一割引券程度でもいいでしょう。
しかし、オープン宣伝の場合は、思い切ったサービスが必要になります。
また、街頭での配布は、一回や二回ではアピール効果が期待できません。
一週間くらいは、徹底して配布することが重要です。
ポスティングの場合はエリアが重要です。
徒歩で来店してもらえる範囲は、大体半径500m以内です。
配布エリアを絞らなければ、かなりのムダが出てしまいます。
また、近所にある事業所や商店街では、たくさんの人たちが働いています。
この人たちはいつもその場所にいるので、固定客になってもらいやすいのです。
事業所や商店街に対してのアピールは、メニュー表とサービス券を持参して挨拶に回るセールスが適しています。
街頭での配布に比べて、確実に手渡しできるため効果も期待できます。
さらに、お店の近所には飲食店以外の、自店と客層が同じお店がいくつかあるはずです。
そのようなお店と提携するのも効果的な方法です。
たとえば、女性客を狙うなら美容室などにお店のサービス券を置いてもらうようにします。
この時のポイントは、お店の顧客サービスとして使ってもらうことです。
そうすれば、お客様も来店しやすくなります。
もちろん、こちらもそのお店に対する販売協力を行います。
固定客をどんどん増やせるイベントの実施方法
飲食店が継続して繁盛するためには、常にフレッシュな楽しさを提供する必要があります。
新しい飲食店は次々にオープンしているので、変化がないと飽きられてしまいます。
外食はだれにとっても最も身近なレジャーですが、レジャーがいつも同じ内容ではつまらなくなってしまいます。
高いレジャー性を感じさせ続けるためにも、いつもとは違う新鮮な驚きや楽しさを提供しなければならないのです。
そして、そのために必要なのがイベントです。
最もよく行われているイベントは、年に四回の季節メニューフェアです。
しかし、年にたった四回のイベントでは、単発的な効果しか得られません。
毎月、何かしらのイベントを実施することで、イベントとイベントの相乗効果も期待できるようになります。
とは言え、イベントにはお金がかかります。
特別な料理も店内のデコレーションも、相応の投資が必要です。
そのため、力を入れるのは年四回の季節メニューくらいでも構いません。
大事なことは、毎月毎月必ず変わったことをやっている楽しいお店というイメージです。
このようなイメージが定着すると、確実に固定客をつくることができます。
また、イベントには、新規客の来店動機を促す効果もあります。
イベントがきっかけで来店し、固定客になるケースも少なくありません。
そのため、クリスマスや新年などお客様の多い時期に行うほど効果的です。
これにより、客数の減るほかの月の売上げをカバーすることもできます。
イベントの実施期間も重要なポイントです。最低でも二週間程度の期間は必要です。
そして、日曜は必ず二回入れる必要があります。
お客様にもいろいろと予定があります。
行こうと思っていたのに終わってしまっていては、かえってがっかりさせてしまいます。
イベントを効果的に実施するには、十分な準備期間が必要です。
まず、イベント内容をお客様に告知する必要があります。
これは、最低でも一ヵ月前には知らせて、楽しみにしてもらう必要があります。
そして、一カ月前に告知するためには、二カ月前には準備をはじめなければ間に合いません。
イベントの内容は、お客様に十分な魅力を感じさせるお値打ち感が不可欠です。
そのため、あらかじめ食材業者の協力をとりつける必要があります。
ただ業者も、急にいわれても大した協力ができないおそれがあります。
そのためにも、余裕のある準備が必要です。
「特別な日」で来店動機を促す方法
定期的にイベントを行う理由は、常にフレッシュな楽しさを提供することでレジャー性を高め、お客様を飽きさせないためです。
それと同時に、魅力的なイベントを実施することで、新規客の来店動機を促す効果もあります。
外食は、だれにとっても最も身近なレジャーです。
普段の日常的利用動機による外食は別ですが、家族との団らんや恋人との食事といった、非日常的利用動機の場合はレジャー性が高くなります。
つまり、外食がレジャーというのは、非日常的な楽しみのための外食ということになります。
では、そのような利用動機はどのようなときに生まれるのでしょうか。
そこを狙えば、お客様の来店動機を促すことができます。
たとえば、クリスマスやバレンタインデー、ホワイトデーなどの時に外食することは当たり前になっています。
これは、その日はふだんとは違う「特別な日」だからです。
まさにレジャーとしての外食といえるでしょう。
そして、いつもとは違うちょっと高めのお店に出かけたりします。
特別な日という理由があるから、出費が多少かさんでも抵抗感がないのです。
これは当然、飲食店側も分かっています。
そのため、クリスマスディナーやバレンタインメニューをイベントに取り入れるお店も増えています。
クリスマスなどは暦上の「特別な日」です。
これをよく考えてみると、外食ニーズが期待できる「特別な日」はもっとたくさんあります。
たとえば、ひな祭りや子供の日、母の日、父の日、敬老の日は期待できそうです。
また、個人に目を向ければ、誕生日や結婚記念日も特別な日です。
スーパーでは、子供の日や父の日、母の日などにはすしや刺し身がよく売れます。
これは、家庭ではそれなりにお祝いをしているということです。
現状では外食行動と結びついていなくても、家庭では何らかのお祝いをしているので、きっかけさえあれば来店してくれる可能性が高いといえるでしょう。
クリスマスなどは顕在化しているニーズですが、子供の日や結婚記念日などは、潜在しているニーズということができます。
そして、潜在ニーズの掘り起こしは、飲食店成功のカギといえます。
そのため、これらの特別な日に照準を絞ったイベントをもっと積極的に打ち出して、来店動機を促さなくてはならないのです。
「特別な日」のお客様は「少しくらい賛沢をしてもいい」と思っています。
そのため、メニューやサービスの設定が大事なポイントになります。
一年中宴会ニーズを取り込む方法
宴会シーズンである年末年始は、飲食業会の稼ぎ時です。
シーズンになると、ほとんどのお店は宴会客の獲得をめざします。
しかし、なかなか宴会が取れないと悩むお店も多いです。
また、宴会客は大型店に流れてしまう傾向があります。
宴会に強いお店になるためには、まず宴会のイメージを変えることが大切です。
宴会は、忘・新年会だけではありません。
宴会ニーズは一年中あるという発想を持つことが大切です。
まずは、お客様の一年間のライフサイクルに目を向けてみましょう。
すると、宴会ニーズは意外とたくさんあることが分かります。
三、四月には、卒業、入学、入社、転勤などの行事やお祝いがたくさんあります。
このような人生の節目になる行事には、関係者が集まってお祝いや送別会を開きます。
つまり宴会ニーズが発生しているのです。
また、宴会を開く理由は、改まったことだけではありません。
理由はなんであれ、何人かが集まって飲食する場は、基本的にすべて宴会なのです。
次に、時間帯別にどんな宴会ニーズがあるか考えてみます。
アイドルタイムの宴会なら、主婦のサークルやPTA活動、ランチ会、高齢者の趣味の集まりなどが期待できます。
家に集まる代わりに、飲食店を利用するホームパーティー的なものも期待ができます。
一方、深夜時間帯では、美容院や飲食店、スーパーマーケットの従業員など、終業時間が遅い人の宴会が見込めます。
つまり、宴会も客席と同じく回転させることができるということです。
最も代表的な忘・新年会でも、7~9時のゴールデンタイムに一組しか取らないなら、もったいないことになります。
5~7時に一組入れ、9時以降にもう一組取れば、一日に三組とれるのです。
さらに、アイドルタイムなら夜の集まりが無理な、主婦を対象にした宴会も取ることができます。
潜在的な宴会ニーズを確実に取り込むためには、目的・人数別の宴会プランを企画して、ふだんから積極的にアピールする必要があります。
よく「各種宴会」と書いていますが、これではお客様の心に響きません。
お客様が考えていた宴会にぴったりのプランがあるからこそ、このお店にしようと決めてくれるのです。
また、ふだんからちょっとした宴会をおすすめすることで、宴会に強いお店というイメージを定着させることもできます。
売りたい商品が売れるようになるPOP広告の活用法
POP広告とは、販売促進のために店内に掲示する広告のことです。
飲食店のPOP広告には、各テーブルの上に置く卓上POPや店内ポスターなどがあり、効果はかなり期待できます。
POP広告は、セールスの代行者ということができます。
無言のセールスマンというわけですが、この威力はバカにできません。
たとえば、ほとんどのお客様はメニュー表と同時に卓上POPも見ます。
お得な情報があるのではと、なんとなく気になるのです。
そのため、売りたいメニューを卓上POPなどにしておけば、自然とそのメニューに誘導することができるようになります。
POP広告が効果的な理由は、お客様の注意を引くだけではありません。
無言のセールスというところに、この広告手段ならではのメリットがあります。
POPの場合だと、スタッフが推奨するより押しつけ感がありません。
お客様自身の判断によるオーダーになります。
そのため、客単価が上がったとしても、自分の意志でオーダーしたという意識しかないので、高くついて失敗したと思われることはないのです。
オーダー時の難しさの一つに、メニューの説明やオススメをどの程度するかということがあります。
基本的にお客様は、自分でメニュー表を見ながら選びたいという欲求を持っています。
そのため、あまりしつこく説明したり、オススメしたりすると、お客様にわずらわしい思いをさせてしまうのです。
しかし、POPにしておけば、そのような心配はありません。
POPの効果が発揮される方法は、オススメメニューのアピールや、追加オーダーの対象となるデザート類の販売です。
また、子ども向けの商品の販売にも効果的です。
ランチタイムなど早く安く食べたいお客様が多い場合は、オーダーしてほしいメニューに確実に誘導する方法としても活用できます。
オーダーがまとまれば、ピーク時の厨房がパニックにならずに済みます。
ここで重要となるのが、POP広告はセールスということです。
そこで、まず考えなければいけないのが商品の内容です。
お客様が「オーダーしてよかった」と思える内容やお値打ち感がなければ、かえって逆効果になってしまいます。
同時に、見た目も重要です。
見た目がきれいでなければ美味しさが訴求できず、オーダーを誘導することは難しくなります。
メニュー表と同様に、写真やイラストなども活用して、見る楽しさ、読む楽しさも加えるといいでしょう。
今よりもっとお酒を売る方法
夜の売上げをアップする切り札は、お酒を売ることです。
食事メニューだけでなく、お酒とつまみを追加オーダーしてもらえば、自動的に客単価がアップします。
そして、お酒とつまみの販売は、無理なく簡単に実施することができます。
売上げをアップするには、客数を増やすか客単価を上げるしかありません。
そして、競争が激しい今の時代では、客数の大幅アップは簡単なことではありません。
では、客単価アップはどうでしょう。客単価を上げようと思っても、単純に値上げするわけにはいきません。
お店側の都合による値上げは、お客様が離れる危険が大きいのです。
値上げをせずに客単価を上げるには、一品でも品数を多くオーダーしてもらうしかありません。
しかし、食事のみのお客様に、追加オーダーしてもらうのも簡単ではありません。
ところが、お酒を飲むとなると追加オーダーが劇的に簡単になります。
なぜなら、ビールを一本注文するだけで、ただの食事がレジャーに変わるからです。
お酒を飲むことによって、日常的利用動機が非日常的利用動機に変わるわけです。
ただし、お酒を飲んでもらうといっても、居酒屋化するわけではありません。
「食事の前に軽く一杯だけ」という気になってくれればそれで十分です。
最近では、飲食店のほとんどにお酒が置いてあります。
しかし、積極的に売ろうとはしていません。
売上を上げるには、もっとお酒を売る努力が必要になります。
お酒を売るためには、お客様にお酒を飲む気を起こさせる必要があります。
ただ食事をするのではなく、その時間を楽しむ気にさせることが重要なのです。
そこで大事になるのが、つまみの工夫です。
これは、季節感のある小鉢など簡単なもので構いません。
あまり単価が高くないメニューを二、三種類用意しておくだけでも、お客様の飲酒動機を誘導するのに十分に有効です。
しかも、そういうつまみなら原価率が低く利益率もアップします。
昼と夜の売上を最大化する二毛作商法とは?
二毛作商法とは、単純に昼も夜も稼ぐ商法のことではありません。
たとえば、昼はそば店で夜は居酒屋営業に変身する、このように昼と夜で営業形態が変わるお店を二毛作店といいます。
二毛作の基本は、昼と夜で変わる飲食店利用動機の違いを見定め、それぞれの時間帯の利用動機に合わせた営業をすることです。
お客様の利用動機には、日常的利用動機と非日常的利用動機があります。
時間帯で分ければ、ランチタイムは日常的な利用、ディナータイムは非日常的な利用が基本になります。
昼は主として空腹を満たすことが主な目的なので、客単価は低くなります。
時間がないから早く食べたいというニーズも多いし、栄養補給も重要な要素になります。
対して夜は、レジャーとしての利用が主になるため、客単価は高くなります。
レジャーとしての利用なので、食事主体の場合でも、お酒や会話によるリラックスした時間を過ごすことが目的になります。
つまり、二毛作は夜の売上高アップ策の切り札にもなります。
お酒を売ることによる客単価アップを徹底すると、二毛作の販売戦略になるのです。
二毛作を成功させるには、昼と夜とで変わる利用動機に合わせて、その違いを強烈にアピールする必要があります。
まず、夜のメニューは、お酒を楽しむことを前提にしたものに切り替えます。
食事メニューに重点を置いてもいいですが、その場合はサブメニューを充実させてレジャー性を高めなければなりません。
レジャーとしての利用動機に対応する、夜のメニューのお手本は居酒屋メニューです。
しかし、これを実現するには、仕入れや調理技術、調理態勢の問題をクリアしなければなりません。
二毛作だからと、中途半端に居酒屋を真似するのが一番危険です。
居酒屋の真似ではなく、自店の業種業態に適した夜の売り方を見つけることが重要です。
たとえば、一般の居酒屋では出せない手づくり感のあるものを出したり、こだわりのあるお酒を揃えたりするといいでしょう。
売り方という点では、お店の雰囲気も重要なポイントになります。
昼と夜のメニューを変えるだけではうまくいきません。
昼と同じ日常的な雰囲気では、非日常的な楽しさを求めるお客様を呼ぶことができないのです。
そのため、内装のイメージやサービスの仕方、ユニフォームなど、どうすれば昼との違いをアピールできるか徹底的に検討しなくてはなりません。
お店の雰囲気は、ライティングや装飾品の工夫だけでもかなり変わります。
色々考えてみると面白いでしょう。
さらに売上高を大きく伸ばす、とっておきの秘策
飲食店の売上高は「客単価×客数」で決まりますが、どちらも大幅にアップさせるのは難しいといえます。
お酒を売れば客単価はアップしますが、大幅アップとまではいきません。
また、値上げはお客様が離れる危険があり、逆効果になる可能性が高いです。
一方、客数はどうでしょう。客数は「席数×客席回転率」で決まります。
そして、どちらにも限度があります。
また、滞席時間の長いお客様を早く帰そうとすれば、こちらもお客様離れを起こします。
では、どうすれば売上高を大幅に伸ばすことができるのでしょう。
その突破口が、テイクアウトの導入です。
テイクアウトのいちばんの特徴は、席数に関係なく売上高を伸ばせることです。
お手本はハンバーガーなどのファーストフードショップです。
イートインが満席でも、大半のお客様はテイクアウトで買っていきます。
だから店舗規模に比べて、はるかに大きな売上げを上げることができるのです。
もう一つ、席数に関係がない方法に出前があります。
しかし、出前の場合は新たに出前要員が必要になります。
本気で出前に取り組めば売上げは伸びますが、人件費で帳消しになってしまうのでは意味がありません。
さらに、出前中の交通事故などのリスクも増えることになります。
テイクアウト導入の最も大きなメリットは、導入のために余計な人件費がかからないということなのです。
また、テイクアウトをお土産にしてもらうことで、宣伝効果が期待できるというメリットもあります。
お土産には、信頼している人からの推薦という信用が付加されるので、もらった人の印象に強く残ります。
そして新規客になってくれ、さらにお客様の輪を広げてくれるという循環が生まれます。
お店が打つ宣伝では、信用を得ることはできません。
.
印象に残るお土産にするためには、お客様がお土産にしても恥ずかしくない包材を使う必要があります。
そして、自店のよさや個性をアピールできる商品に絞り込むことが重要です。
また、テイクアウトを導入する場合は、仕込みやオーダー調理のシステムを見直し、素早い対応ができるようにすることが、成功のための不可欠な条件になります。
最も効率の良い客席レイアウトにする方法
一般的に飲食店は、一人客を快く思わない傾向があります。
客数を稼げないので、効率が悪いと思ってしまうのです。
しかし、売上高は一組の客数の多少で決まるものではありません。
売上高を上げるために最も大切なことは、お客様の固定客化と来店頻度を高めることです。
本当の一人客対策は、まず一人客を大切にすることから始まります。
つまり、一人客が入りやすいお店にする必要があるということです。
それは同時に、すべての客席を効率よく使えるようにすることでもあります。
客席稼働率を高めるには、まず客席レイアウトを見直す必要があります。
飲食店の客席は、四人掛けテーブルが基本にレイアウトされていることが多いです。
だから、一人で四席も占領してしまうことになりがちなのです。
このような事態を防ぐには、二人掛けテーブルを基本にすればいいでしょう。
二人掛けテーブルなら、一人客が使用しても、客席稼働率にそれほど影響がありません。
そもそも、一組当たりの客数はせいぜい2~3人が普通です。
さらに、テーブルをつなげれば多人数にも対応できるので問題は何もないのです。
客席は、稼働してはじめて意味があり、お客様に利用されない席を「死に席」といいます。
客席レイアウトの原則は、単純に席数をたくさんとればいいということではなく、確実に稼働する席をたくさん確保することが重要なのです。
飲食店の売上高は「客単価×客数」で決まります。
しかし、見かけの席数が多くても、「生きている席」が少なくては意味がないのです。
また、一人客用の客席としてカウンター席があります。
これも席のつくり方が大事なポイントになります。
まず問題となるのは、お店側に「カウンター席は悪い席」という意識があることです。
そのため、一人客はカウンター席で我慢してもらうという感じになってしまいます。
カウンター席を気持ちよく利用してもらうには、居心地のよい席にする必要があります。
ざっとポイントを挙げると、席と席の間隔はできるだけゆとりを持たせ、カウンターの奥行きも確保することが大切です。
また、バッグなどを置ける棚は必ずつけるようにしてください。
これがないと、イスが荷物に占領されて死に席なってしまいます。
食事メニューが中心の場合は、ローカウンターのほうが落ち着きます。
プライベートチェアの要素が強い肘掛け付きのイスにすれば、より居心地はよくなります。
特に小規模店の場合は、オープンキッチンのカウンター席にすると、席数が確保でき死に席も出にくくなります。
なぜ女性客に好かれると売上げが上がるのか
女性客に人気のあるお店には男性客も集まりますが、その逆はほとんどありません。
これは、女性客に人気があるということは、雰囲気のいいお店ということだからです。
安心して利用できるお店で居心地もいいから、男性客にも好かれるのです。
女性客が入りやすいということは、だれもが入りやすいということを意味します。
幅広い客層に支持されるためには、まず女性客のハートを掴まなければなりません。
競争のシビアな時代に売上げを伸ばすには、女性客の支持率が重要なポイントになります。
たとえばラーメン店でも、若い女性客が入りにくいお店は成功できなくなっています。
居酒屋がこれだけの市民権を得たのも、若い女性が安心して利用できるように努力してきたからです。
飲食店は女性が成功の鍵
つまり女性客の取り込みは、飲食店が成功するためのポイントになっているのです。
確実に成功するためには、意識的に女性客に好かれるお店をめざす必要があります。
女性客にはまだまだメリットがあります。
まず、固定客化しやすいことが挙げられます。
女性客は新しいお店の開拓には熱心ですが、一方で「自分だけのお店」を求める傾向も強いです。
お店選びの評価はシビアになりがちですが、いったんファンになってくれると、長く通ってくれるものなのです。
しかも、消費単価は意外と高い傾向があります。
また、女性客はヘルシーさに敏感で、セットメニューなどお値打ち感の高いメニューを好みます。
ハーフサイズで半額など、量を加減できるメニューも喜ばれるでしょう。
さらに、はっきりと女性客に的を絞ったお店づくりも考えられます。
OLや女子大生の多い立地なら、そのほうが成功する確率が高いケースも出てきます。
女性客に好かれるお店になるためのポイントは、センスのよさ、磨き上げた清潔感、アットホームで温かなサービスと雰囲気です。
ここで特に注意が必要なのは、センスのよさということです。
センスは難しい問題ですが、一般的に凝りすぎたデザインはマイナスになります。
内装は明るくシンプルなデザインにまとめたほうがいいでしょう。
流行を取り入れることも大切ですが、すぐに飽きられるような要素はやめておいたほうが無難です。
また、女性客は自分のライフスタイルを非常に大切にします。
つまり、行きつけのお店は自分のライフスタイルにぴったりのお店ということになります。
そのため、いつでも違和感なく溶け込める雰囲気でなければなりません。
アットホームな雰囲気が重要なのは、そのためでもあります。
女性客の場合は特に、トイレの清潔感も重要なポイントになります。
男女別々のトイレにするのはもちろん、スペースに余裕があるのなら専用の化粧室を設けたほうがいいでしょう。
清潔感でいえば、イスやテーブルなど、直接体に触れるモノの質感にも注意が必要です。
また、食器や消耗品類には、話題にできる要素があれば理想です。
高級品でなくていいので、話題性を念頭に揃えてみましょう。
無名のお店がマスコミに紹介される方法
マスコミに取り上げてもらうには、有名店である必要はありません。
また、お店の規模も無関係です。マスコミにとって重要なことは、紹介する価値があるかどうかです。
おいしいと評判のお店や、面白いイベントで話題になっているお店など、紹介するだけの価値があればどんどん紹介してくれます。
店主が面白いというだけでも、マスコミにとっては価値のある情報なのです。
最近では、あらゆる媒体で飲食店の紹介をしています。
飲食店情報は、マスコミにとってなくてはならない大事なネタの一つなのです。
雑誌などを見比べてみると、同じお店が何度も紹介されていることがよくあります。
これは、マスコミもネタ不足で困っているからです。
年中紹介していれば、手持ちのネタがすぐに切れてしまいます。
つまり、マスコミ側も新しいお店を探すのに苦労しているということです。
情報の鮮度の点でいえば、できたばかりのお店のほうが、価値が高く視聴者や読者に対するインパクトも強くなります。
つまり、こちらから積極的に売り込めば、取材に来てくれる可能性は大いにあるということなのです。
さらに、一度紹介されると次々に声がかかるようになります。
これを活用しない手はないといえるでしょう。
マスコミに売り込むといっても、特に難しいことはありません。
具体的には、お店の外観や内装、自慢メニューの写真、自店のアピールを簡単にまとめた文章を送ればOKです。
雑誌の場合は、編集後記などで記者や編集長の名前が分かるから個人宛で郵送します。
テレビ局の場合は、紹介してほしい番組名を書いて、ご担当者様宛でいいでしょう。
この時のポイントは、無料食事券を同封して招待状の形にすることです。
招待にしておけば下見をしてくれるし、気に入ってくれれば紹介してもらえるでしょう。
マスコミといっても、紹介のされ方や宣伝効果には違いがあります。
特に雑誌の場合、その違いは大きくなります。
その理由は、雑誌によって読者層が変わるからです。
雑誌は、それぞれターゲットを定めて編集しています。
そのため、取り上げてくれる雑誌によっては、読者層と客層が合わないことも出てきます。
これはテレビ番組でも同じです。
お店によっては、紹介される媒体を慎重に選んでいるケースも少なくありません。
しかし、幅広い客層を対象とする飲食店の場合には、あまり気にしなくても構いません。
また、発行部数も気にしなくて構いません。
なぜなら、部数が少なくても、ほかの雑誌の編集部がマークしている雑誌もあるからです。
細かいことは気にせず、とりあえず紹介されてしまいましょう。そこから広がる可能性もあるのです。
マスコミの紹介に大きな宣伝効果を期待できる理由は、あくまでその媒体による紹介だからです。
しかも、マスコミ自体の社会的信用が土台にあります。
つまり、マスコミの紹介には、社会的信用という目に見えないお墨付きがついてくるのです。
自己PRは信用できないと思っている人でも、このお墨付きがあればすんなりと信用してくれます。
さらに、マスコミの紹介はタダです。
しかも、情報の受け手の数は桁違いに多くなります。
招待状にするとお金がかかると、せこい考えは捨てましょう。
手にする効果に比べれば、それくらいの出費はなんてことありません。
それに無料で招待するといっても、実際に使うお金は材料原価だけなのです。
飲食店開業は販促物が売り上げを左右する
一言に販促といっても、その方法は様々です。
そして、どれだけ効果的な販促を実施したとしても、お店がお客様に合致していないと固定客をつくることができません。
つまり、お店づくりも販促の一部ということができるというわけです。
ぜひ、お店づくりも販促の一部として考えてみてくださいね。