エステやリラクゼーションサロンにおいて、接客は命ともいえるでしょう。
どれだけ手技の技術を向上しようと、最新の機器を導入しようと、接客が悪ければお客様に満足してもらうことはできません。
お客様に満足してもらえないと、サロンは存続することができないのです。
そこでこのページでは、お客様の満足度を向上し、信頼関係を築くことができる接客方法について説明していきます。
あなたのお店が末永く愛されるお店であるために、ぜひ参考にしてくださいね。
お客様の心まで癒す接客法
・あいさつや言葉遣いでも癒す
サロンのコンセプトが多岐に渡るように、顧客ニーズも様々なものがあります。
例えば岩盤浴なら、デトックスや美容、リラックスしたい人がほとんどでしょうし、マッサージなら、コリの解消や精神的なリラックスが目的となるでしょう。
お客様は日頃の様々なストレスを解消したいと思い、リラクゼーションサロンへ来店しています。
しかし、癒しとは程遠い雰囲気を醸し出しているサロンも中にはあります。
特に大型の施設型の店では、事務的な説明のみで、お客側の立場で考えていない店も少なからず存在します。
人は誰でも、元気で笑顔のスタッフに迎えられる店に行きたいと思うものです。
また、「○○さん、いつもありがとうございます」などと声をかけられれば、心から癒された気分になれるでしょう。
お客様に好感を持ってもらえる、あいさつ、身だしなみ、そして言葉遣いで常に接するには、しっかりとしたルールづくりが必要となります。
マニュアルをつくり、定期的にロールプレイングを実施して、常に最高のおもてなしができるようにしておきましょう。
・勉強のため最高のサービスを受ける
マニュアルだけでは、心からの接客はできません。
特にイレギュラーな対応になると、マニュアルではカバーできないでしょう。
そこで、店長が教育するなど、日々の業務の中で改善していく必要があります。
しかし、指導する人間の感性がズレていたら、お客様が不快に思うことに気づけないという最悪の事態になります。
このような事態を避けるために、指導する立場の人は積極的に接客を学ばなければなりません。
特に、高級ホテルや飲食店等の最高の接客サービスを意識的に受けると、最高の学びとなるでしょう。
お客様に満足感を与える接客の基本
・お客様は最高の接客を期待している
最高の接客ができる人は、基本がしっかりとできています。
最近では、ホテルや飲食店などのサービス業における接客レベルが高くなってきています。
世の中全体の接客レベルが上がっているため、顧客の求めるレベルもどんどん上がっています。
特に癒しを提供するサロンでは、最高の接客を期待して来店する方も多いのです。
そこでここでは、サロンでの接客の基本について説明したいと思います。
まず、身だしなみはきちんとしましょう。
服が汚れたり、シワになったりしては当然いけません。
また、マニキュア、髪の色や化粧が派手過ぎる、香水の匂いがきついといったことでも、お客様を不快にさせてしまいます。
次に、言葉遣いについてです。
尊敬語、謙譲語、丁寧語は奥が深いですが、マスターしておく必要があります。
ただし、堅苦しくなりすぎると、お客様との距離ができてしまいます。
だからといって、極端になれなれしい口調もいけません。
このバランスが難しいですが、定しい日本語を使う意識を持っておきましょう。
最後に、態度と対応です。
状況に合わせたお辞儀や、明るく元気なあいさつや返事を心がけましょう。
またニヤけ顔でのスタッフ同士で会話や、腕組みなどは慎むようにしましょう。
・人の判断は視覚情報から
心理学者として有名なメラビアン氏の統計によると、人の判断は、顔の表情や外見が55%、声のトーンや話し方が38%、言葉の内容が7%影響するといわれています。
つまり人は、目と耳で93%判断するわけですから、この2点は押さえる必要があります。
そして、サロンの主役はお客様です。
この視点を持つことが、接客の基本といえるでしょう。
しかし、サロンの主役は自分と思って接客をしているスタッフが多いように感じます。
この点では、飛行機の客室乗務員をお手本にすると、よい接客ができるようになるでしょう。
お客様に親近感を持ってもらう声かけ術
・名前で呼ばれたら、嬉しさと親近感を覚える
声かけには、お客様に気持ち良く施術やサービスを受けてもらう目的があります。
また、自店のサービス内容や料金の説明をすることもできます。
ここでは、具体的な声かけについて紹介していきましょう。
まずは、お客様を名前で呼ぶようにします。
最近のサロンでは、多くの店が実践するようになりました。
誰しも名前で呼ばれたら、嬉しさと親近感を覚えるものです。
この気持ちが、満足度向上に繋がります。
次に、ベッドや機器への誘導です。
「○○さん、こちらのベッドへどうぞ」と身振りと声かけで、ベッドや機器などに的確に誘導しなければなりません。
声かけをしっかりと行なわないと、お客様はどこに動いて良いのか分からず、恥をかかせる可能性もあります。
お客様を迷わせない声かけは必要不可欠なのです。
最後に、自店のサービス内容や料金の説明です。
特に新規客は、店内のルールやサービス内容、料金が分かりません。
また、クーポンを配布している場合などは、こちらから「クーポン券などはお持ちでないでしょうか?」と問いかけることが必要です。
・ツールを活用しバラつきを無くす
メニュー説明については、自店の思いやメニュー、サービス内容が明記してあり、ビジュアルでも分かりやすい「ブランドブック」を用意しておくとよいでしょう。
いくら教育研修をしても、人によってバラつきはどうしても出てしまいます。
「ブランドブック」のようなツールがあれば、スタッフとお客様が一緒に見ながら説明でき、声かけもしやすくなるのです。
声かけができる仕組みをつくることで、店の思いやシステムを納得していただいた上で施術やサービスを受けてもらうことが可能になります。
これが、何よりも顧客満足につながるのです。
お客様に感動を与える方法
・相手の立場に立って物事を考える
最近は、「ホスピタリティ」を全面に打ち出したリラクゼーションサロンが増えてきています。
サロンには心を癒す目的もあるので、当然といえば当然です。
心のこもったおもてなしをするためには、お客様の立場に立った会話ができているかも重要です。
気配りができているかどうかは、相手の立場に立って物事を考えているかどうかで決まります。
また、優先順位が自分の用事よりお客様対応になっていることも重要です。
例えば、施術者は施術中、体を動かすので体が温まります。
このような場面で、お客様のことを考えず、空調の温度を自分の都合で下げてはいないでしょうか。
お客様が寒そうにしているのに、気がつかないようであれば最悪です。
また閉店間際、お客様がいるのにゴミを集めたり、今日の売上計算を始めたりしてはいけません。
リラックスしに来たはずが、「こんな閉店間際に来るな」という雰囲気を出されると、何をしに店に来たのか分からなくなります。
・感動を共有できるサロンをつくる
特に高級ホテルのラウンジなどでは、ホスピタリティの素晴らしさを体験することができます。
例えば、スタッフAさんに4人全員が違う飲み物を注文した際、スタッフBさんが飲み物を運んできても、何も尋ねることなく注文どおりの飲み物が置かれていくのです。
会話を中断させない気遣いのために、AさんからBさんへ誰が何を注文したかが連携しているのです。
これが本物のホスピタリティです。
お客様が「えっ、そこまでやってくれるの」と思うサービスを提供するには、努力や気づきが必要ですが、この感動を共有したサロンづくりをすれば必ずお客様は増えていくでしょう。
リピートするか否かは受付スタッフ次第
・受付がお店の印象を左右する
特に大型の施設型サロンの場合、受付がとても重要になります。
なぜならこのような施設では、人と接する場面は受付しかありません。
その受付を、アルバイトらしきスタッフがマニュアル通りの対応で行なうサロンがたくさんあります。
作務衣やタオルを渡し、入浴の仕方の説明を中心とした施設案内しかしないのです。
施設に対する思いや自店らしさを伝えることはありません。
ハンド中心のサロンでは受付専門のスタッフは在籍せず、施術スタッフが受付を兼任していることがほとんどです。
ところが、受付のことについては無関心なスタッフがたまにいます。
受付はサロンの顔なので、受付のスタッフの態度でサロンの全てが評価されかねないことに気づいていないのです。
特に新規客に冷淡な態度をとってしまっては、お客様は何か恥をかかされたような気分になります。
はじめて来た人は何も分からない、という前提に立った案内をするようにしましょう。
・元気な電話対応も不可欠
電話応対も受付スタッフの重要な役割です。
電話してくるお客様にとって、電話対応はお店の全てと判断します。
例えば電話をかけた際、元気なく事務的な感じで対応されたなら、この店は元気もないし人間味もないから、サービスも期待できないと思われてしまうでしょう。
電話でも、元気で明るい対応が必要不可欠です。
電話の流れや道順案内などの説明を明確にした電話対応マニュアルを作成し、全員に徹底しておくとよいでしょう。
お客様との距離がグッと近づく話題づくり
・お互いが共感できる共通の話題を探す
お客様と人間関係を築くには、コミュニケーションを取りながらお互いのことを知らなくてはなりません。
特に新規客の場合は、お互い何も知らない状態で、話しかけて欲しいタイプかどうかも分かりません。
そのため、会話がたどたどしくなりがちです。
このような時でも、話題のパターンをある程度理解おけば、会話を弾ませることができるのです。
人は、自分と同じ趣味や嗜好の人がいると嬉しくなるものです。
なので、まずお互いが共感できる共通の話題を探すことが先決です。
実際、共通の話題があるから来店するお客様も存在します。
共感できる話題が見つかれば、ほぼ誰でも会話は弾むものです。
しかし、そこに至るまでが非常に難しい・・・。
そこで、どのような話題から入ると共通の話題まで辿り着けるかお伝えしていきましょう。
・注意!癒しの満足度を大きく下げる質問とは?
まずは、天気・気候の話題が鉄板です。
とにかく新規客でも既存客でも、会ってすぐはこの話題から入ることをオススメします。
最近急に寒くなってきましたね、特に今日の夜は冷え込みが厳しいみたいですよ、冬は好きな方ですかなどと、気候の話を振ってからクローズ質問をします。
クローズ質問とは、「はい」か「いいえ」で答えられる質問のことです。
基本的に、施術中はオープン質問をしてはいけません。
オープン質問とは、「はい」「いいえ」で答えられない、考えさせて答えてもらう質問です。
例えば「何で急に寒くなったんですかね」といった質問はオープン質問に当たります。
施術中はお客様に考えさせてはいけません。
人は考えると、急激に副交感神経から交感神経が優位になり、癒しの満足度を大きく下げてしまうのです。
会話が苦手な人ほど、無意識にオープン質問をしてしまう傾向にあります。
自分がどのような質問をしているか、一度振り返ってみましょう。
・天気の話から次の話題にさりげなく転換していく
天気・気候の話題の後は、共感部分に探りを入れながら話題を作っていきます。
主な話題としては趣味、ニュース、家族、旅、健康、スポーツなどの話題です。
また、少し難しいですが、天気の話からつなげていくと不自然さが全くなくなります。
例えば、「冬はお嫌いなんですね。実は私も冬は嫌いなんですよ。
暖かい方が好きだから、年末になるといつも沖縄の離島に行くんですよ。
○○さんは沖縄に行かれたことありますか?」とさりげなく旅の話題に変えることができます。
とにかく、話題づくりについては日頃からアンテナを張っておくとよいでしょう。
特にニュースは常にチェックするようにしましょう。
ただし、暗いニュースは避けて明るい話題を題材にしましょう。
もしお客様が暗い話題を出してきても、それに乗らずに明るい話題に変えて行くようにした方がいいです。
また、社会的地位の高い方をメインとするサロンの場合は話題の質も問われます。
例えば、年金問題を話題にしても、年金がなくてもやっていける人にとっては全く興味がなく会話が弾みません。
特に一般常識を知らなすぎると、サロン自体の質が疑われることになるので注意が必要です。
・政治、宗教、深入りは厳禁
更に、政治や宗教などの話は厳禁です。
これらの話題は、信条によって意見が正反対の場合があるので注意が必要なのです。
特に、自分の主張を話した後、お客様が反対意見の支持者だと分かれば最悪です。
また、熱狂という点においては、野球等のスポーツの話題にも注意が必要です。
なるべく中立的な立場で会話をするよう心がけましょう。
会話で重要なのが、深入りし過ぎないことです。
あまりしつこく質問すると、お客様が詰問されたように感じ不快な気分にしてしまうおそれがあります。
また、話題が盛り上がり過ぎて「一緒に旅行に行きましょう」みたいな話になると、後から面倒なことになりかねません。
加減は難しいですが、お客様とは付かず離れずの関係を築くことも意識しておく必要があります。
クレームをチャンスに変える対応術
・クレームへの反論は絶対NG
商売をしている以上、クレームを避けることはできません。
人間がすることなので、どれだけ細心の注意を払っていてもトラブルは発生してしまいます。
クレームが起きる原因は、期待と現実とのギャップによるものです。
落ち着いた空間で最高の癒しを提供しますと謳っているにもかかわらず、スタッフの接客態度が悪く癒されないとなると、ギャップが生じてクレームになるのです。
クレームが起きたら、とにかく反論をしてはいけません。
反論すると火に油を注ぐようなもので、お客様の怒りを増幅してしまいます。
とにかくお客様の話を聴くことに専念してください。
実は、聴いてもらうだけでスッキリする方がほとんどなのです。
そして、私もお客様と同じ立場でしたら許せませんと、クレーム内容に共感します。
そして、お詫びも忘れず伝えるようにすれば、ほとんどのクレームは抑えることができます。
・スタッフから事情を聴き、事実確認をする
クレームが入ると、現場での事実確認をする必要があります。
もしかしたらお客様のほうが、理不尽なクレームを入れてきているかもしれないからです。
お客様の言うことを鵜呑みにせず、クレームを起こしたスタッフに事情を聴きます。
スタッフに明らかな落ち度があれば、態度を改めて今後に活かすためきちんと改善策を立てます。
そして、同じクレームが起きないよう、サロン内で情報共有をしていきましょう。
最後は解決策の提案です。
クレーム客に対して、スタッフには厳しく注意した旨と、今後の改善策、本人から直接謝罪をしたい点や、お詫びとして挽回のチャンスをいただけないか伺います。
クレームにおいては、正面から向き合いクレーム客へ誠意を示すことが何よりも重要です。
そして、実はクレームはチャンスでもあります。
クレームにしっかり対応したことで、その後、貴重なお得意さまになってもらえたという事例はよくあることなのです。
実践できる接客マニュアルの作り方
・チェックに時間がかかると続かない
マニュアルを作ってみたけれど、ほとんど活用できていないということがよくあります。
この原因は、内容は素晴らしいけど、実践するのが難しいものが多いためです。
マニュアルは実践可能なものを作る必要があります。
では、具体的にはどのようなマニュアルづくりをすればいいか説明していきます。
まず、新人スタッフ向けのマニュアルは、入社1日目、1週間目、2週間目、1ヵ月目と時期を区切り、それぞれの時期で必要な項目をチェックするようにします。
全スタッフ向けには、1ヶ月ごとに必要項目にチェックするといった運用ルールの仕組みを作っておくとよいでしょう。
簡単にチェックでき、常に意識づけすることを目的としたマニュアルが理想です。
何回も繰り返すことで、重要なことを体に染み込ませることがキモなのです。
一般的なマニュアルが活用されないのは、量が多すぎて重要な部分が分からないことと、運用ルールがはっきりしないためなのです。
・チェック項目は15~30項目に絞る
まずは必要なチェック項目を作ります。
そして、チェック項目で「×」があった箇所を、本体のマニュアルで確認してもらうことで、必要なことがピンポイントで改善できるのです。
マニュアルはルールブックですから、全てを確認する必要はありません。
チェックして、問題がある箇所だけ確認すればそれでいいのです。
チェック項目は、サロンの決まりを中心に15~30項目に絞るようにしましょう。
あまり多すぎると、チェックすること自体をしなくなってしまいます。
内容としては、身だしなみ、言葉遣い、あいさつ、状況に合わせた対応、遅刻の有無、ホウレンソウ、お客様の満足度など、身近で問題が起きやすい項目をチェックすると良いです。
そして、毎月チェックする時に合わせて、ミッション、ビジョン、経営理念をスタッフで共有しましょう。
これも繰り返し伝えていくことによって、スタッフの意識を変えることができます。
心からオススメできる提案をする
・専門知識に基づいて現状分析し、納得してもらう
接客する上で重要かつ難しいのがメニューの提案です。
メニューの提案は、お客様にとってベストなメニューを受けてもらうことで満足度を向上させるものなので、お客様の嗜好やニーズを把握しておかなければなりません。
また、お試しコース3000円といった「集客メニュー」で来店したお客様に対しては、追加メニューや物販商品を勧めて利益を得るための努力が必要です。
この時、「役立ちたい」「喜んでもらいたい」「幸せになってほしい」などという気持ちを込めてオススメすることが何よりも重要になります。
お客様の現状を分析した上で、必要な理由をしっかり伝えて納得してもらわなければなりません。
納得してもらうためにも、専門的な知識を持っておくことは不可欠です。
・ウソをついても悪い噂が広がるだけ
「サロンの売上が足りない」という気持ちが先行すると、ウソをついてまで契約させるようになってしまいます。
これからの時代では特に、このようなことをしているとすぐにお店は潰れてしまうでしょう。
その場では納得させられても、ネットで調べてウソがばれるとその人は二度と来店することはありません。
それどころか悪いクチコミが広がり、地域密着で営業することは不可能となるのです。
特に悪い噂は急速に広まるものなので、軽い気持ちで不誠実な対応をしてはいけません。
特にエステの業界は悪質なエステサロンが増えたために、契約書を交わすまで店内で様々な資料を提示し確認を取らなければならない時代になりました。
このような状況の中、サロン本位では経営していては生き残ることができないのです。
お客様を考えの中心に置き、どういう提案がお客様に喜ばれるか、どのような施術がお客様を幸せにするか、どのような接客がお客様に信頼されるかを常に考え、満足度を向上させなければなりません。
お客様を中心に考えれば、きっとあなたのサロンはお客様から愛されるサロンになることができるはずです。