スタッフの定着率を高め売上まで伸ばす教育方法を公開します

飲食店を経営する上で、スタッフの存在は不可欠です。スタッフがいなければお店を営業することも難しくなり、お店の存続も危なくなってしまいます。
ところが、このスタッフに問題を抱えているお店も少なくありません。そこでここでは、スタッフを正しく教育し、長く働いてもらえる環境を整える方法を紹介していきたいと思います。

お客様の心をつかむ接客サービスを実現する方法

飲食店の人事管理で、最も大切なことはスタッフの教育・訓練です。なぜなら、飲食店の仕事はすべて、お客様の満足のために努力するものだからです。
ただし、適切な教育・訓練をするためには、ベースとなる理念や方法論が確立されていなければなりません。なかでもポイントとなるのが、お客様の心をつかむ接客サービスの実現です。
これは、たんなるテクニックやスタイルの追求だけでは実現できません。サービス業としての本質を理解することが、何よりも大切なのです。

接客サービスで最も大事なことは、サービススタッフ全員に「おもてなしの心」を徹底させることです。お客様が感動してくれるのは、心から接客した時だけです。この心がなければ、サービステクニックを駆使してもお客様の心をつかむことはできません。
そして、サービススタッフ全員がお店の顔ということを忘れてはいけません。スタッフ一人一人が、お店の代表としてお客様と接しているのです。

お客様にとって、スタッフの雇用形態は関係ありません。お客様の評価は、担当したスタッフ個人に対するものではなく、お店全体への評価となるのです。
「おもてなしの心」は、スタッフ全員が同じレベルで接客するための基本でもあります。まず、このことをしっかりと理解してもらい、お店の代表としての自覚を持たせることが、お客様の心をつかむための基本となります。

では、基本を踏まえた上で「お客様の心をつかむ」というテーマを考えていきましょう。接客サービスの要点は、基本の動作と言葉づかいに分けられます。
まず基本の動作についてみていきましょう。動作のポイントは、次の三つです。

・いつも笑顔を絶やさないこと。
・背筋を伸ばした正しいお辞儀をすること。
・キビキビと軽快な動きをすること。

一方、意外とむずかしいのが言葉つかいです。
接客サービスでスタッフの言葉つかいが重要な理由は、人間の気分は話す相手の言葉に大きく左右されるからです。悪気はなくても、お客様を不快にさせることもあるのです。
接客サービスで必要な基本用語はそれほど多くありません。「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」など、せいぜい10種類程度です。また、どのお店でも大差はないから何度も耳にしています。

ところが、実践するのは簡単ではありません。なぜなら、敬語を使う意味をしっかり理解していないからです。
接客の言葉で最も大切なことは、お客様の自尊心を傷つけないということです。敬語や丁寧語を使うのはそのためです。
ただし、敬語は場や相手に応じた使い方をしないと、かえってマイナスになってしまうこともあります。たとえば、カジュアルなお店なのに馬鹿丁寧な言葉づかいをされても、お客様は嬉しくありません。

また、実際の接客では、お客様と話をする必要もあります。そのときにも、臨機応変に敬語や丁寧語を使えるようにしておくことが大切です。
また、言葉の響きや話すスピードにも注意が必要です。言葉づかい自体は正しくても、耳に入る感じで不快感を与えてしまうこともあります。

お客様のお店に対する印象は、お店に入った時の第一印象に大きく影響されます。つまり、お客様の心を確実につかむためには、お迎えの仕方が非常に重要ということです。
第一印象を良くするには、「いらっしゃいませ」に少なくとも次の三つの意味が込められていなければなりません。

・来店してくれたことに対する感謝の気持ち、
・お客様を当店の大切なお客様と認めていることを示す意思表示。
・楽しく豊かな時間を過ごしてもらうためのきっかけづくり。

飲食店の仕事は、お客様に喜んでもらうために全力を尽くすことです。そして、お客様のお迎えはそのスタートです。そのため、お客様の期待がふくらむ感じのよい対応が必要です。

機会損失をなくし売上を上げるちょっとしたコツ

機会損失とは、チャンスを失うことを指します。本来なら得られた売上げや利益を、対策不足で逃してしまうことです。
飲食店の営業では、機会損失を起こす可能性が大量に転がっています。お店が気づいていないだけで、さまざまな場面で損失が発生しているのです。
こんなに大事な損失に気がつかない理由は、機会損失は正確な数字で記録に残らないからです。本来なら得られた売上げといっても、その金額は計算のしようがありません。だから、見過ごされてしまいます。

しかし、意識して注意深く観察していれば、いつ、どこで、どんな機会損失が発生しているのか見えてきます。そして、機会損失の可能性を的確に認識し、できるだけ発生しないように手を打っていくことが大切なのです。機会損失をできるだけ防ぐことは、最も大切なマネジメントの一つです。

最も分かりやすい機会損失は、満席のためお客様が帰ってしまうことです。また、追加オーダーの合図に気づかず、お客様がオーダーをやめてしまうのも、よくある機会損失です。
いずれのケースも、サービススタッフの対応により発生する機会損失です。本来なら入店してくれたはずのお客様を逃し、オーダーされるはずの商品が売れないという結果になってしまいます。
これらは、きちんとした対応をしていれば、その分の売上げがあったわけです。あったはずの売上げの金額は不明ですが、明らかな損失であることは確かです。

このような機会損失は、スタッフの教育・訓練を見直し、サービスの仕方を徹底することで、かなり防ぐことができます。
たとえば、常にお客様の水のグラスに注意させるようにします。するとスタッフは、自然とお客様の様子に気を配るようになり、追加オーダーのサインを見落とすこともなくなります。
また、食べ終えた食器にも素早く気付くようになります。食器を早く下げる習慣がついていれば、満席時にお客様を必要以上に待たせることもなくなります。

また、お客様が帰ってしまうことを防ぐためには、お客様を放っておいてはいけません。必ず待ち時間を告げて、待たせることをお詫びしなければなりません。
きちんと対応していれば、意外と待ってくれるものです。

接客サービスでは、中間サービスが非常に重要な意味を持っています。接客サービスの役割は、お客様がお店にいる間、楽しく過ごせるようにフォローすることです。サービスは、お客様がお店にいる間、ずっと続いています。
サービススタッフは、常にお客様のテーブルから目を離してはいけません。それが接客サービスの鉄則です。この鉄則を守っていれば、追加オーダーを見逃すことはなくなります。

もちろん、お客様の来店が集中する時間帯には、目を配るといっても限度があります。また、サービススタッフの熟練度によって対応能力は異なります。
しかし、この鉄則はできるだけ守らせなければなりません。なぜなら、完璧でなくてもある程度はできることだからです。
お客様のほうも、常に注意してほしいとは思っていません。邪魔はされたくないけど、用がある時はすぐに気づいてほしいと思っているのです。
そのため中間サービスでは、お客様の邪魔にならないようにすることと、お客様にゆったりとくつろいでほしいという気持ちを表現することが大事なポイントになります。

お客様のテーブルに目を配れない原因として、サービススタッフの人数が足りない場合もあります。これはスタッフの配置のミスで、スタッフに責任はありません。
削減できる経費は削らないと利益は上がりません。しかし、人件費をケチりすぎて、機会損失を引き起こしている場合もあるのです。
機会損失は、その認識がなければ気づけません。まず経営者がその認識を持ち、対策を考えること以外に防ぐ手立てはないのです。

お客様と正しく親しくなり固定客を増やす方法

お客様と親しくなることは、固定客になってもらうための一番の近道です。しかし、お客様と親しくなることが、かえって災いすることもあるから注意が必要です。

お客様と親しくなることがマイナスになるのは、特定のお客様とだけ親しくなってしまうケースです。一部のお客様だけ特別扱いすれば、そのお客様も悪い気はしないでしょう。お店としても、固定客ができたという安心感が生まれます。
しかし、特定のお客様だけを特別扱いすることは、ほかのお客様を大切なお客様と認めていないことになってしまいます。そんな扱いを受けるお店に通ってくれるお客様はいません。

飲食店のサービスの大原則は、すべてのお客様に対して公平であることです。お客様によって差をつける対応は、絶対にあってはなりません。
つまり、マイナスにならないようにお客様と親しくなるには、すべてのお客様と親しくなる努力が必要ということです。すべてのお客様に対して同じアプローチをすることが、すべてのお客様に対して公平に対応することになります。

そのためには、人と人とが親しくなるきっかけを探すアプローチが効果的です。
まずは、こちらから話しかけてみましょう。お迎えの時には「いらっしゃいませ」だけでなく、気軽なひと言を付け加えてみます。たとえば、天気の話などがいいでしょう。雨の日なら「いらっしゃいませ、よく降りますね」といった感じです。
オーダーを受ける時には、おすすめメニューの説明などが効果的です。「今日はこういう料理ができます」「今月の季節メニューです」という感じです。ただし、売り込みっぽい感じになってはいけません。販売することが目的ではないので、オーダーしてくれるかどうかにこだわってはいけません。
お客様を大事にしているお店の気持ちが伝わればいいのです。

食事の途中なら、軽く会釈しながら「何かご用はございませんか」と声をかけます。ただし、食事やお客様同士の会話の邪魔になってはいけません。また、食後には「お楽しみいただけましたか」と、声をかけてみてもいいでしょう。
お客様がお店に対して感動するのは、予期しないサービスを受けた時です。きめ細かなサービスが当たり前の高級店なら、お客様もいちいち感動したりしません。期待していないポピュラープライスのお店だからこそ、嬉しいのです。

お客様は、自分を大切にしてくれるお店を探しています。そして、口には出さなくても、お店との心の触れ合いを期待しています。つまり、お客様はいいお店を探して常連客になりたいと思っているのです。
それなら、その気持ちに応える方法を考えればいいのです。お客様は、思いがけない温かい言葉、自分が大切にされていると実感できるひと言を心待ちにしています。
そして、期待を上回るサービスを受けると、料理は実際以上においしく感じるものです。お客様のお店を見る目も自然と優しくなります。

それなら、「もうひと言」を実践しない手はないでしょう。
ただし、「もうひと言」のサービスは、マニュアル化には向いていません。自然な雰囲気でなければ、お客様に押しつけがましい印象を与えてしまう危険もあります。
また、食事中や食後に声をかけるのは基本的に店長の役割です。お客様が親しくなりたいと思うのは、スタッフではありません。基本的には、お店の主人と親しくなりたいと思っているのです。

お客様に話しかけることは、自分を売り込むことです。そして、飲食店の最大の魅力は、お店側の温かなハートです。もっと積極的に、ハートを伝える必要があります。

スタッフを一人前にする正しい仕事の教え方

ここでは、接客サービススタッフの教育・訓練についてみていきましょう。
仕事の教え方は、次の四つのステップを経ることが効果的です。

①心構えをさせる。
②仕事の内容を教示する.
③実地に訓練する。
④反復指導する。

このうち、心構えをさせることと仕事内容の教示が教育のステップです。
この二つのステップを飛ばして、いきなり実地訓練に入ることが多いですが、これでは優秀な人材は育ちません。飲食業としての本質や、社会での存在意義がしっかりと理解できていないと、お客様に喜ばれることが自分の喜びになる、仕事本来の醍醐味が分からないのです。
このような理解なしに接客技術だけを身につけても、お客様に喜ばれるサービスはできません。

マニュアルサービスの評判が悪い理由は、サービスのスタイルに問題があるわけではありません。「心」が感じられないサービスになっていることが問題なのです。
きちんと教育から入っていく、これが、正しい仕事の教え方の基本です。

実地訓練と反復指導で最も大切なことは、決められた作業を100%できるようにすることです。つまり、お店のスタンダードをマスターさせることで、完全に身につくまで繰り返す必要があります。訓練は、店長が最も時間を費やして実行しなくてはなりません。
店長が見本を示しながら、お店の現場で行う訓練をOJTといいます。OJTで注意することは、スタッフ一人一人の理解・習得レベルをよく観察することです。
そして、訓練は習得までの期間を決める必要があります。一定期間で効率よく技術を身につけられるかは、店長の能力次第です。

訓練で最も大事なポイントは、正しい順序で教えることです。
たとえばオーダーを取る訓練でも、メニュー名と価格を正確に暗記していて、かつ基本の接客用語がある程度身についている必要があります。そのため、訓練に入る前にメニュー表を覚えさせ、接客用語がスムーズに言えるまで発声訓練をしておく必要があります。
いい加減な順序で訓練しても、時間がかかるだけで効果は上がりません。

また、OJTで注意しなければならないのは、人に合った教え方をすることです。個人差を無視して画一的なやり方で教えても、効果は上がりません。
そして、よくできた時はほめ、間違いがあればその場ですぐに指摘して直すことです。特に間違いがあった時は、どんなに小さなことでも率直に指摘することが大切です。
ただし、温かな態度で接し、本人に納得させることが大切です。本人が納得できない時は、遠慮なく質問できる雰囲気をつくっておく必要があります。
訓練には厳しさが必要です。しかし、厳しい訓練とは、スパルタ式に教えることではありません。仕事の習得という点についてのみ、妥協のない厳しさをもって訓練することなのです。

飲食店の基本サービスは、それほど難しい仕事ではありません。ではなぜ、うまくいかないケースが多いのでしょうか。
実は、簡単な仕事のためかえってできないのです。難しい作業なら、頭を使って神経を集中させるので間違いなくできます。しかし、飲食店の基本サービスは頭で考えてやるものではありません。お客様が見えた瞬間にお辞儀をするような、反射動作になっていなくてはならないのです。
だから訓練にはある程度の時間がかかります。しかし、いったん身についてしまうと、あとは無意識でもできるようになります。これが、訓練の第一目標なのです。
そのため、反復指導が大切になります。反射動作になるまで習慣化させる必要があるのです。

このような指導をしていくためには、店長は常にスタッフ一人一人を観察していなければなりません。店長がいつも見守ってくれているという信頼感があるからこそ、スタッフは安心して働くことができます。安心して働くから、生き生きとした仕事ができるのです。
仕事の習得スピードは人により違います。しかし、スピードの遅い人でも、多少時間をかければ必ず一定のレベルに到達します。
そのため店長は、常に個々のスタッフの習得段階を個別に把握しておく必要があります。そして、それぞれが完璧に育つのを待つ必要があります。このような我慢ができる店長は、必ず人望を集めます。お店のレベルを上げるのは、スタッフの店長に対する信頼感といえるのです。

飲食店のスタッフは定着率が悪いといわれますが、その要因は仕事そのものにありません。仕事の教え方が悪いか、教育・訓練をほとんどしていないからです。
スタッフに気持ちよく仕事をしてもらうためには、スタッフ全員がきちんと仕事ができるようにする必要があります。きちんとした教育・訓練を受けていないと、お客様にうまく対応することができずに、怒られることにもなりかねません。
仕事が上達しなければ、同僚や先輩たちの態度も冷たくなるでしょう。そのような環境で、楽しく働けといっても無理なのです。
正しい教育をすることは、長く働いてもらうための基本的な条件でもあるのです。

パートやアルバイトを即戦力にする教育法

パートやアルバイトを即戦力に育てるためには、使い捨ての単純労働力という考え方を捨てなければいけません。
飲食店の経営は、パートやアルバイト抜きには成り立たない時代なのです。では、なぜ飲食店は、パートやアルバイトに依存しなければならないのでしょう。

その理由は二つあります。それは、人件費が安くつくことと、お客様の混雑度に応じた効率的な人員配置がしやすいことです。
パートやアルバイトの人件費は、同じ労働時間で比較して社員の40~50%で済みます。しかも、人件費を変動費化することで、経費のコントロールがしやすくなります。これは、確実に利益を出すために不可欠なメリットです。

パートやアルバイトといっても、日々の営業における仕事内容は社員とほとんど変わりません。そして、お客様にとっては、社員とパートやアルバイトに違いはありません。
つまり、パートやアルバイトにも、基本的には社員と同様の仕事をしてもらう必要があるのです。そのため、お店の評価はパートやアルバイトで決まってしまいます。

サービススタッフとしてパートやアルバイトを確実に戦力化するには、次の三つの条件を満たす必要があります。

①勤務時間の選択ができること
②すべての仕事が標準化され、お店のスタンダードが分かりやすい形で示されていること
③評価・待遇の制度が確立されていること

最近ではフリーターが増えていますが、彼らがパートやアルバイトを希望する理由は、勤務時間を選べるというメリットがあるからです。特に主婦の場合、家庭が第一になります。
そのため、主婦を雇う場合は、必ず家族の同意を得る必要があります。これが暖昧だと、遅刻や早退、欠勤が増えて、結局は長続きしないことになります。
また、学生も時間が自由というわけではありません。安易に考えていると、こちらも長続きしません。

最も大事なポイントは仕事の標準化です。ここで問題となるのは、社員とパートやアルバイトでは、教育・訓練の仕方が違うということです。
社員とパート・アルバイトでは、仕事全体の内容や範囲にかなりの違いがあります。しかも、パートやアルバイトは勤務時間が短いので、限られた時間内で教育・訓練し、戦力にしなければなりません。
それには、マニュアルもパートやアルバイト用のものを作成する必要があります。彼らは、余計なことを覚える必要はないのです。
仕事に不慣れな主婦でも簡単に習得できるように、標準化した仕事を分解し分かりやすい言葉と表現で説明するマニュアルが必要です。

また、パートやアルバイトが店内でやるべき仕事の範囲を明確にして、それを最初の教育・訓練の時にはっきりと示しておくことも大切です。
仕事の範囲が明確でないと、確かな目標を持てません。そのため、習得のスピードが遅くなり、仕事にイヤ気がさしてしまう原因にもなります。
仕事の標準化は、サービスの仕方の基準がはっきりとしているということです。そして、店長はその基準通りに教えます。これが教育・訓練の大原則です。
誰のいうことを信用していいのか分からない職場では長続きしません。そうならないように、店長は常にスタッフ全員の仕事ぶりを注意深く観察し、少しでも間違っているところを発見したら、その場で即座に指摘して直す必要があるのです。

最初にマニュアルを渡し、簡単な訓練をするだけのお店も少なくありません。しかし、それではいつまでたってもパートやアルバイトは戦力にならないのです。
また、戦力化のためには、できるだけ早く現場に出してあげることも大切です。これは、簡単な仕事でもこなしていくうちに、自然と仕事のカンが養われていくからです。
最初に現場に出すのは、OJTとして実務に慣らさせるためです。そのため、店長はその動きをよく見ながら、うまくできたらほめ、誤りがあればすぐに修正しなければなりません。
パートやアルバイトでも、飲食店に勤める以上は、早く先輩たちと同じように接客サービスしたいと思っています。だから、早く現場に出してあげることは、彼らのヤル気を引き出すことにもなります。ここで、きちんと教えずうまくいかないと、せっかくのヤル気もなくなってしまいます。

評価・待遇制度については、長く働いてもらうための絶対条件になります。
どんな仕事でも、結果を評価してもらえなければ意欲はなくなってしまいます。評価されたいと思うから、早く覚えよう、もっと上達しようと努力するのです。うまくできたら褒めるのもそのためです。
しかし、一人前に働けるようになると、ただ褒められるだけでは満足できなくなっていきます。働く人にとって、給与に反映されない評価は意味がないのです。

飲食業界では、パートやアルバイトの評価制度が定着していません。社員は毎年昇給しても、パートやアルバイトの給料は据え置きというお店がほとんどです。
きちんと教えられ、すぐに仕事を任され、努力次第で給料が上がるという仕組みがあれば、パートやアルバイトはすばらしい戦力に育ってくれます。そして当然、定着率も高くなります。
それによってスタッフ個々の生産性が向上すれば、仕事にふさわしい時給を払うことは十分に可能となります。

スタッフのやる気を起こさせる2つのポイント

ヤル気は強制して起こるものではありません。経営者にできることは、スタッフがヤル気の出るような環境を整えることです。
ヤル気の出る職場環境の条件は、少なくとも二つあります。一つは、仕事への評価を給与に反映させること、もう一つは、親しみが感じられ気分よく働ける雰囲気をつくることです。

仕事での評価は、結果が給与に反映されなければ意味がありません。褒められることは嬉しいですが、褒められるだけで給料が上がらないのでは、高まった仕事への意欲もなくなってしまいます。
ここで大事なのは、スタッフを公平に評価することです。そして、最悪なのはスタッフ間に不公平感が出る場合です。きちんと仕事ができるのにそれが認められないのでは、お店のチームワークも悪くなってしまいます。
最近は、能力に応じた給料が当然という考え方になっています。かつてのような年功序列式の考え方では、必ず問題を起こしてしまうでしょう。

公平な評価をするためには、評価基準が明確で分かりやすい形になっていることが大切です。
スタッフの定着率の悪いお店は、この仕組みがしっかりとできていません。スタッフのヤル気を引き出すには、仕事の結果が公平に評価され、しかもそれが給与の金額に反映される仕組みが不可欠なのです。

その仕組みの一つが、基本給プラス能力給の賃金体系です。自分の努力と実力次第で稼ぎが変わると、目標がはっきりします。だからこそ、仕事に張り合いが出るのです。
ただし、能力給を導入しても、それが魅力のある金額でだれにでも実現可能な目標でなければ効果は低くなります。本気になれる目標を与えることが大切です。

社員とパートやアルバイトに、給与差があるのは当然です。しかし、社員同士、パート・アルバイト同士の間には、公平な基準がなければなりません。
勤務評定というのは主観が入りやすいものです。だからこそ、常に公平を期すよう自分を戒めなければなりません。スタッフは、明快な評価基準があるからこそ、やるべき事がわかるのです。

社員とパートやアルバイトでは、ヤル気といっても性格が違います。社員になる人は、これからの人生を飲食業にかける気持ちを持っています。夢や目標もあるでしょうから、定着率も高くなります。
そのため社員の場合は、たんなる能率給だけでなく、常に一歩上をめざす向上心があり、努力をしているかどうかが、評価の重要な基準になります。

一方、パートやアルバイトの評価は、与えられた仕事の範囲内での出来が問題になります。
この場合の出来は、単純に接客がうまいという意味ではありません。お店のスタンダードを実現するために、決められたルール、やり方をきっちりと守って働いていることが重要です。

ただし、パートやアルバイトの場合は、ただ時給で評価するだけでは、ヤル気を引き出しにくいことがあります。ここで大事なのが、パートやアルバイトの人が飲食店で働く理由です。彼らにとって最も大事なことは、飲食店
で働くことではありません。お金を稼ぐことなのです。ここが社員との決定的な違いで、パートやアルバイトを使う時の最も大事なポイントになります。
もちろん、パートやアルバイトの中には、飲食店で働きたいという人もいます。しかし、大半はなんとなく飲食店を選んだだけなのです。
彼らにとって、どこで働こうが大した問題ではありません。このことを冷静に認識しておく必要があります。

パートやアルバイトの給料は、社員に比べてはるかに低くなります。社会保険や有給休暇など、その他の労働条件も整備されていないのが普通です。
しかも、実際の仕事は、社員とほとんど変わりません。それでも文句をいわずに働くのは、働く目的が社員とはまったく違うからなのです。

しかし、どうせ働くなら気分よく働きたいと思っています。気分よく働ける職場とは、親しみを感じられる職場です。つまり、居心地がいいと安心していられる職場にすることも、ヤル気を引き出すための大事な条件ということです。
彼らの心をつかむには、まず経営者が頼れる人にならなければなりません。たんなる先輩以上に、彼らを理解してあげる必要があるのです。
若いスタッフの定着率が高いお店を見ると、経営者が必ず彼らの「心」をつかんでいます。これは、甘やかすということではありません。むしろ仕事に厳しい店長がいるお店のほうが、ヤル気が感じられることが多いのです。

スタッフが常に清潔を意識するようになる教育法

お店のクレンリネスは、スタッフのクレンリネス意識の向上がなくては実現できません。よくできた清掃マニュアルがあっても、それだけでは意味がありません。クレンリネスの実現には、清掃は飲食店の大事な仕事と理解させることが不可欠です。
しかし、普通のスタッフにとっては、クレンリネスは仕事であって常識になっていません。これを常識として教えるには、教育・訓練と同時にしつけが必要になります。
たとえば、クレンリネスの最大のポイントはトイレですが、トイレ掃除はだれもが嫌がります。そこで、トイレを清潔に保つことが、いかに大切なことかを理解させていきます。これが教育です。
ただ、頭では理解できても体が動かないものです。それを、だれもが同じ清潔感の基準を持って自分から清掃するようにしていきます。これがしつけです。

このような意識改革は、口でいうだけでは実現できません。これを実現するためには、経営者が自ら実行する必要があります。これ以外に効果的な解決法はないといってもいいでしょう。
店長はお店にいる間、常にトイレがきれいな状態に保たれているか意識しなければなりません。店長がいつもトイレの様子を気にかけている姿勢を、スタッフに示し続けることが最も大切なポイントです。
この姿勢を示さなければ、いくら教育やしつけの言葉を並べてもスタッフの意識は向上しません。いわれた時はやっても、すぐに元に戻ってしまいます。

また、スタッフの中からリーダーとなる人を育てることも重要です。
リーダーは店長と同様、常にトイレの状態に気を使い、率先してトイレの清掃を行うようにさせます。それと同時に、ほかのスタッフに対して、いつでもトイレ清掃の指示を出せる権限を与えるのです。
リーダーが必要な理由は、店長が不在の時にスタッフに隙が生まれるからです。それが次第に、店内の規律を壊していきます。

クレンリネス意識をしっかりと持たせるためには、スタッフがふだん使っている着替え所や休憩室など、お客様に直接関係のない場所についても、日頃から清潔を意識させることも大切です。
また、スタッフの服装や身だしなみについても常に注意します。ユニフォームをだらしなく着ているスタッフには、クレンリネスは実現できません。このようなところから、徐々に意識改革する視点も必要です。

スタッフに長く働いてもらうためにやるべきこととは?

お店はスタッフがいなければ成り立ちません。飲食店の価値を表現し、お客様に伝えるのはスタッフなのです。
つまり、経営者にとってスタッフは、お客様の次に大切な人間ということです。飲食店の成功の鉄則はお客様を心から愛することですが、それは同時に、スタッフを愛することでもあります。

飲食店の価値を伝えるということは、お客様への愛を伝えることです。経営者に愛されていないスタッフに、そんなことができるわけがありません。それどころか、職場としての魅力も感じることができないでしょう。
スタッフが長続きしない最大の原因は、スタッフに対する愛が足りないことなのです。

飲食店のスタッフの定着率が悪い理由に、スタッフに対する「使い捨て」意識があることが挙げられます。パートやアルバイトは、働く期間が短くなります。そのため、ある程度働いてくれればいいという態度になりがちです。
経営者がこのような考え方を捨てない限り、スタッフの定着率が向上することはあり得ません。
スタッフを愛するといっても、甘やかすことではありません。楽しくやりがいを持って働いてもらうためには、経営者の温かな愛が不可欠ということです。

スタッフのヤル気は、仕事への評価が給与に反映されなければ引き出せないのも確かです。
特にパートやアルバイトの場合は、この仕事がしたいという人はほとんどいません。なんとなく仕事を選んだ人たちで、第一の目的はお金を稼ぐことです。
しかし、人間はお金だけで割り切れるものでもありません。働く人たちにとって最も重要なことは、職場が毎日働く気になれる場所かどうかということです。時給も気にはなりますが、それ以上に、自分の居場所と感じられることが重要です。

パートやアルバイトも、仕事に対する意欲がないわけではありません。大半の人たちは、働く以上はきちんと仕
事をしたいと思っています。たとえ短期間であっても、自己実現の場にしたいという気持ちがあるのです。
たしかに、パートやアルバイトを希望する人たちは、期間を区切って働こうと考えている人です。しかし、その期間が来たら絶対に辞めるわけでもありません。居心地がよく自分の事情が許すのなら、長くそこで働きたいと考えるのです。

スタッフとの関係も、人間関係であることに変わりはありません。そして、人間はうまくいっている相手と無理して別れたいとは思いません。
ここで注意が必要なことは、相手から愛を求めてはいけないということです。まず経営者がスタッフを愛すから、スタッフもお店を愛する気持ちを持てるのです。逆の順序はあり得まえせん。
お店を好きになってもらうということは、お店で働くことが楽しいと感じてもらうことです。そのため経営者は、職場環境を整える必要があります。これは、雇用条件だけで決まるものではありません。スタッフ一人一人を本当に大切にしたいという経営側の気持ちが伝わらなければ、楽しく働くことはできないのです。

環境を整えた上で、経営者はスタッフに対して、強力なリーダーシップを発揮しなければなりません。リーダーシップとは、スタッフを都合よく使うという意味ではありません。スタッフが楽しく働けるように導くことです。
スタッフが楽しく働けるお店であるためには、お店が繁盛しなければなりません。そして、繁盛するためには、きちんとお店の魅力を伝えることができるスタッフが必要です。
つまり、お店とスタッフは切っても切れない関係にあります。スタッフを愛する姿勢を示し続ければ、スタッフも自然と長続きするはずです。
お客様は、自分が大事にされると思うから固定客になります。スタッフも同じです。大事にされていれば、辞めたいと思うことはないのです。

スタッフに長く働いてもらうためには、きちんとした教育をおこなうことが不可欠です。そして、しっかりとスタッフを教育していれば、お客様へのサービスの質も上がり売上も自然と上がることになるでしょう。
飲食店は毎日忙しいと思いますが、ぜひ時間を取って実施してみてください。きっとスタッフの問題から開放されると思いますよ。

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